「あんなやつ、友達じゃないよ!!」
 
 
碇シンジの悲痛な叫びが夜天を引き裂く。中学生がこういうことを言うと、だいたいほんとは友達であり、ちょっとした感情の行き違いなどで素直になれない仲違いの真っ最中、大人から見ると甘酸っぱく感傷的な、そんな星空の青春ディスタンスということになるのだが。この場合。燃え上がる赤色の感情なども特になく。碇シンジはひたすら狼狽していた。
 
 
場所も悪いかも知れない。今現在、そこは高度300メートル。文学的に言えば夜の真ん中、というあたり。見下ろす景色は海と光もなくとうの昔に死に絶えた街の残骸。うろ覚えでも自分が先ほどまでいた寺の位置と暗い海との兼ね合いを考えると・・・・・六根が冷えてくる。月と海と闇と・・・・月があっても見慣れた人工光がないというのは恐ろしい孤独感があり。怪奇、というものは体験するとなると圧力があるのが分かる。人の頭を後ろから掴みガツンと地に這い蹲らせるほどの荒々しい。観賞するときに感じる物寂しさなどは遠く。眼下に広がる「事実」と合わせて屈服しそうになる。月光に炙られる街の躯
 
 
竜号機の手のひらの上であり、ベルトなど固定具もないので鋭い爪のある指から風に負けて落ちぬように気を張っておかねばならないことが、せめてその助力になるとしても。
 
 
旧尾道市街
 
 
竜尾道の外にある、表の顔である。どういうわけか、この沈んだ廃墟の「裏」に竜尾道がある、といった方が正しいのか。確たる理由は知らされず、水上左眼に連れられるままに竜号機の手のひらに乗せられ、そのまま夜空に向けて上昇、竜号機が途中で刀を一閃したかと思ったら、「こちら」にいた。父親、碇ゲンドウがさきほどやってのけた竜尾道抜けである。水上左眼にトランクに詰められて第三新東京市から拉致されて以来の外の空気であったが、さほど優しくも暖かくも懐かしくもなかった。というより、非常に緊迫感に充ち満ちており、世界は感じ方ひとつ、という悟りにも同調できる気がした。いや状況とやはり場所が悪すぎるのかもしれない。そうでなければ、もっと余裕があれば、外の世界は彼に「おかえり」をいってくれたかもしれない。そうなると、世界とは余裕のことかもしれない。余裕がなければ状況がひたすら続くだけでどこにも両足をつけられない、常に片足どちらかをあげていなければならないことに。笛も吹いていないのに。
 
 
ともあれ、緊急時であった。
文字通りに自分の足に竜号機を用いる水上左眼であろうとも今夜のこれはさすがに家庭用仕事用の領域を越えてのスクランブルに入る。しかも、碇シンジを連れての領地越え。
 
 
シンジ殿のお友達、と水上左眼は言った。それがどういう意味であったのか・・・
父親はすぐに分かったが、碇シンジの方はよく分からなかった。いろいろ考え深読みしすぎた面もあろうし水上左眼に対する理解の深度の違いもあった。ただ、ろくなものじゃないだろうなあ、という予感は強烈にあり、頼られてちっとは悪い気はしないなあ、などと微塵も思わなかったことだけは確かだ。どこまで連れて行かれるのかと思いきや・・・遠くまで行くのなら、迎えにいく、という表現はおかしい。しかし空中ランデブーできるお友達ってダレじゃん?・・・・まさか、まさか、まさか、まさか・・・・・
 
 
ひとであったころは、海と陸との、はざまの、境界の名をもっていた
 
 
まさかな・・・・
まさかな・・・・・
まさかなー・・・・
まさかなをたべるとつごうがよくなる、ここはまさかな天国か?
 
 
とか心ゆらしていたりすると
 
 
 
つばさがはえた苺ショートケーキ
 
 
 
のような巨大浮遊物体が見えた。
 
ケーキにしてはでかい、というレベルではない、おそらく竜号機でも食べきれないほどの、水上左眼が甘党か辛党か別としてほぼ同じ背丈の巨大浮遊物体であり、苺に見えた赤い球体はコアであり、白い外見もべったり塗られた生クリームなどではなく生体装甲だったりするのだろうから、つまりは「使徒」ということになる。パターン青です!使徒です!とか段取り踏んで教えてくれる本部オペレーターがいないので、いまいちテンションを上げにくいが、使徒だろうと、思われる。こんな時間のこんな地域に宣伝用の飛行船でもないだろう。つばさがある、というのも天使っぽいし。
 
形は誕生ケーキのようにホール、円形ではなく、一人前に切り分けられた四分の一よりは少ないだろうな、という・・・・・外見で判断するのは禁物であるが、こう単純なフォルムだと判断のしようがない。強いのか弱いのか・・・・武闘家のようにオーラや殺気で相手の強さを判断できればいいのだけれど。もし隣にカステラ型やシュークリーム型使徒が並んでいれば、どちらが一番強敵に見えるか・・・・・・難題であるがこの場合どうでもいい。
 
 
「シンジ殿、このご友人にはどう対処すればよろしいか」
 
 
竜号機の口の辺りから水上左眼の声が降ってくるので一寸驚く。お友達からご友人に変わっていたがそれはスルーする。それを追求するより先に言わねばならぬことがあった。
というか、自然に口から飛び出した。
悲痛な叫びが。連発する。誤解なんぞ恐くないが悲しいので連続する。
 
 
「あんな友達いないよ!!」
 
 
「・・・ふむ、然様ですか。では、戻りましょう」
謝りもせず、連れてきたのと同じ速度でさっさと「内」、竜尾道に戻ってしまう竜号機。
 
 
「え?」
使徒を前にして血が騒ぐ、とまでは言わないが、習い性かテンションが上がってきたところをすぐさま背を向けて戻ってきてしまう・・・・サビに入る前に鐘が鳴ってしまった日曜のど自慢のようなやりきれなさとわずかに羞恥を感じながらも、碇シンジはどうしようもできない。
 
 
「ご苦労でした、シンジ殿」
緊急発進のあとにしてはタクシーのような悠長さで大林寺まで送り届けてくれた。この手の経験に慣れていなければすっかり夢の中の物語であったのだと納得してしまうほどの後腐れのなさであった。自分の力の及ばぬ遙か高みの領域のことなど、少年の体に無理にはめこんだところで傷になるだけ。水上左眼はやることが急なだけに、ひとに綺麗に忘れさせる術を心得ているようにも見える。少なくとも、言葉の裏がまったく読めない。
もう少しこの役立たずぶりをボロかすに言われるものかと覚悟していた碇シンジは
 
 
「ちょっと待って、ヒメさん」
飛び立とうとする竜号機、水上左眼を呼び止めた。解放されたのだから家に戻ってもいいはずなのだが。いつも水上左眼は早く帰れ帰らないかなーと内心連呼していたくせに、呼び止めた。おそらくはじめて。
 
 
「これから、どうするんですか」
 
 
使徒が襲来して水上左眼はこの街の自他共に認める守護者であり・・・・となると、答えなどひとつしかなさそうなもので、自分には呼び止める資格もないはずなのだが。
ふつう、こんな愚鈍な問いかけは、逆鱗に触れること間違いない・・・・相手は刃物をいつも持っておりまともな法律は通用しないときている。完全にTPO読み間違え。
 
 
孤剣をもって襲いくる敵と戦うに決まっているではないか・・・・・
そう、ヒロイックファンタジーのように。豹の頭の王様が聞けば泣く。
 
 
・・・・かもしれないが、碇シンジの深いところで声がする。
 
それは夜脳ナイトヘッド的なところなのか、第三新東京市やネルフや使徒戦でさんざんもまれてでかくなった・・・・もまれてでかくなるのは胸だけではない、ということだ・・・・肝っ玉やカン働きであるのか、とにかく。このまま無力な少年気分で見送っては非常にイカンがな、ということだけは分かるおじさんセンサーが作動していた。
 
 
「博徒の親分連中・・・といってもシンジ殿には分からないかな、遊技業界・・もかえって分かりにくいか、ひらたくいうと、カジノの支配人たちと報告をかねての会食だ。あまり気は進まないのだがこれも仕事の一つでね」
 
 
ビンゴ
 
 
・・・・なんかとんでもないことを聞いてしまった。ルールを聞かずにゲームを始めてしまい身代巻き上げられる直前ギリチョンセーフ、といったところか。水上左眼はこちらに分かりやすいように言葉を選んではいたが、十分すぎる。十分すぎた。この女・・・・・
 
 
使徒と戦う気などまったくない、
 
 
ということだ。まったく誤魔化す気もうしろめたく思うところもないらしい。しかし、一応、聞いてみる。最後にこちらを挑発している、という可能性もある。
 
 
「あの、さっき見た、使徒、みたいな不気味なショートケーキはどうするんですか」
 
 
使徒襲来、とはいえ、いきなりミサイルやらビームやら飛ばして攻撃してきたわけでもなく、したところで「裏」にある竜尾道の市街に被害をあたえられるかどうか怪しいがそれでもあんなものが海上にあれば思い切り経済活動の邪魔であろう。
 
 
「ああ、ここが標的になっているのかどうか分からなかったのだが、どうもそうではないらしい。シンジ殿が出て行っても、なんの反応も見せなかったからな。しばし、様子を見るさ」
 
 
「・・・・・」
体の奥深いところから沸騰してくる想念が喉ちんこのところまでギリギリ停止する。
エスプレッソマシーンの気分がよく分かる碇シンジ。よく分かるがマシーンではないので。
 
 
「うまくいけば、ここを探すのに飽きて東の方に流れていくだろう?そうすれば、”それ専門の役所”が片付けてくれるという寸法だ。シンジ殿が心配することはないよ」
 
 
あぎぎぎぎぎ
 
獣には出せない透明の呻き声をあげる碇シンジ。その魂の振動は虫にちかく。
 
”それ専門の役所”ってつまり第三新東京市のネルフじゃないの。それは言うとおりの正論なのだが、そのネルフが体制変化で大混乱かなり弱体化しているぞ、とか言ってたのはヒメさんあんたじゃないですか、と言いたいが、言えない。マシーンではないので。
 
 
「使徒というのもいろいろな形をしているのだな、勉強になった。それではシンジ殿」
 
 
何かほのめかしているようでも、もったいぶっているようでもない、単に仕事が片付いたから次の用件に出かける、といった様子で、この女の中では使徒襲来の一大事もただの「様子見可能」な案件の一つにしかすぎないのか・・・・そう考えると、全身から力が抜けてくる。安堵では無論なくスライミーな感じで。打っても響かぬ糠に釘。心の内も耐火構造というか。ちょっとどこかのおっさんが一人、不正規のルートで抜け出したからといって独断で街を封鎖してしまうような・・・用心深さというのか臆病というのか、これを口先で動かすのはかなり厄介で難儀だ。仕事相手と会食がどうこう、というのはひとまず置こう。世界の平和と!個人の商売と!貴女にとってどちらが重要なのよ!などと詰め寄っても斬られるのが落ちだ。エヴァを所有して使徒と戦わない、という選択肢があり得た、というのも目から鱗で世界が広がったような気もする。薄味になったような気もするが。
 
 
とはいえ・・・・・
 
 
@、このまま使徒をほっとく
A、使徒がここから移動して第三新東京市に向かう
B、ネルフが迎撃する
 
 
C・・・・・(縁起が悪いので、あえてこの段階はスキップさせてもらおう)
 
 
X・・・・・いきなり数字が変わったけれど気にしない。あえて縁起を担いで。
 
・・・・・・・・・・・勝利?
 
 
勝つと思うけどなあ、一体だけだし負けるとは思わないけど、勝つに間違いないけど、負けるわけないけど。現在、ネルフ本部にはエヴァ零号機とファーストチルドレン、綾波レイしか戦力がいない、とか、なんとか・・・・これはあくまでヒメさんに聞いた話で現状はもっと良くなっているのだろうけど・・・・使徒戦は、甘くない。何が、起こるか。
 
「すいません!あと一つだけ」
 
 
「推理好きな警部みたいだな、シンジ殿?若人らしくないが」
 
無表情でも無口でもないのだが、心を読ませない。多少不機嫌になるなり苛つくなりしてもらった方がまだ分かりやすく、やりやすい。年上の女房は金のわらじを履いても探せとかいうが・・・・これではあまりにも気が休まりそうもない。が、ここは休息時ではなく、働き時というやつだろう。内心で、シュワッチ!と気合いをいれる碇シンジ。
 
 
「僕に、五分間、もらえませんか?」
 
 
あの竜号機も、ナリはあんなだけど、使徒と戦って楽勝というほど強いとは限らないわけで。それどころかこっちは正確なスペックも知らないときている。飛行能力の代わりに実地の戦闘力を犠牲にしている可能性も大であり。あまり期待する方が間違っているのかもしれないけれど。父さんもエヴァシリーズにあんな機体はない、とか明言してるし。初号機に近い、とかいうへルタースケルターも探してる時間はない。もちろん、竜号機を乗っ取る・・・自信なんか100%ない。当人の実力に比例してエヴァのパワーがあがるなら竜号機もかなり強いのだろうが・・・・ダメージくらって痛い目みるのは水上左眼であり。この機体の力でもっているこの無法地帯が、この人を司る竜を無くしてどうなるか・・・・・責任などとれるはずもない。実際、新生ネルフに任せておけば超楽勝に事を片付けてくれるかもしれないし、そうあるべき。けれど。
 
 
 
「五分で何をするのかな、シンジ殿は」
 
 
おまえはだれのみかたをするのだ
 
と問われたなら、こう答えよう。
 
 
 
「僕の街を、守ります」
 
 
 
水上左眼の片眼に、ぼぅ、と幽かな光が灯った。人や陸の掟や理が通じない、海霊舟霊の光だ。見られるだけで暗い海の上に曳いて行かれるような心細さと言葉に覆い尽くされた精神がみるみるはだかにされていくような・・これに比べると、「死んだ魚のような目」とかいう表現も相当にプリティ・・・・当社比100倍くらいの不気味さ・・・・
 
 
「街」
 
 
・・・・土の上の命のしばしの寄り合いなど・・・・膨大な潮流の中では泡のようなものであろう・・・陸のモノに”あぶく”を吹かれてその解読にかかっている・・・・・今の水上左眼の目は、人間のそれではない。まさに海神竜神のそれだ。まんまだが。なんとも落ち着かない。頭は無心を念じていても、腹の底では小賢しいことをさんざん考え中なのだ。
 
 
「街、か・・・」
 
 
たっぷり五分は過ぎた。それは審判であったのか、判断であったのか。碇シンジとしては、そこで気合い負けしたくないので、判断、ということにしたい。これでシンジ殿のための時間は切れてしまった、とか言われたら、キレねばならぬのだ。情けないリーサルウエポンであるが、ここで恐れ入って納得してはもはや頭を丸めて坊主にならねばならない。
大人しく最後の審判など受け入れている場合ではない。
 
 
街、などと。なんとでもどこまでも拡大解釈できそうな表現であるが、碇シンジとしては、舟霊のような目をした相手に、「なるたけせまーい」範囲で切り取って欲しいところだった。てっとりばやく言えば、ここ現在居住している竜尾道のことだ。ここを守ることしか頭にない水上左眼にしてみれば悪い気はしない。いちおう、身内の式祭をどうこうしようと(父親が)告げた相手である。当然、全面的に信じはしないだろうし、裏の腹を読んでこの間まで生活していた第三新東京市のことだろ本命はフフフこのガキ、くらいのことは察しをつけるだろうが、表だって否定はできまい。すればしたでかまわない、母さん関連で霧の山街のことを持ち出す。この線は、ヒメさんには絶対に越えられない。
 
 
とはいえ、そもそも相手がどういう魂胆なのか分からないので、あまり無茶なことは言えない。この手のことは父親に任せたいところだけど、隠れてるのか見物してるのか出てきてくれないし!カンどころが分からないから、刺激しすぎるのもよくない。ドカンといくのが恐い。チキンだとわらわば笑え。焼き鳥串70円野郎だと侮りたければ侮るがいい。
黒ヒゲ危機一髪は黒ヒゲが飛び出た方が成功らしいけど、・・・・ってそんな豆知識っ!
 
 
もし・・・・
 
 
・・・・これで竜号機が「激弱」だった日には・・・・
 
 
僕は・・・・・・
 
僕は・・・・・・
 
 
刀はもってるし、ドラゴンだし空飛べるし、強いに決まってるよね!そうに決まってる・・・・・・そうだって言ってよ!親父ランキングがあがるチャンスだよ?出てきて?出てこいよ、父さん!!誰か、決めてよ!!
 
 
スーパーな感じでこのようなことを思い切り吼えたい碇シンジであるが、ガマンする。
 
男の子であるから。もしかして、ミサトさんも・・・・・考え出すと鬱キケンにヤバイ。
 
ここは大魚を待つ釣り師のごとく・・・・ほんとは針がついてない釣り糸をたらす大物な感じで・・・・じっと、ヒットを待つ。こらえるんだ、シンジくん。なんか自分を励ます幻聴も聞こえてくる。プレッシャーがハンパないからなあ・・・まあ、実際に戦うのはヒメさんだしそれは慎重にもなるだろうけど・・・・心の中で相手のハートをプッシュする。恋愛方向では全然無い、どちらかというと非常に申し訳ない方向に。念プッシュ。プッシュプッシュプッシュ大統領チェンジ。いえす、あい、きゃん!あー、もう竜号機ちょっとだけ貸してくれないかな、僕が乗るから!とか
 
 
 
「五分で勝てる、秘策があると?シンジ殿には」
 
 
「違います、五分以内でなければ、いけないのです」
 
じわじわプレッシャーに負けていらんことまで考えはじめても飛燕の速度でスグに応答する碇シンジ。腹の中は冷や汗村雨状態であるとしても。
 
 
「ほお・・・・その根拠は」
 
 
「一撃離脱で使徒の急所を狙って、失敗した場合はヒメさんの竜号機はすぐさま竜尾道に隠れてもらいます。たとえ一見して弱そうでも、相手の実力を計ってちくちく攻めて時間をかけるのは論外です。なぜなら、ネルフに目をつけられるからです。弱体化しているか、逆に戦力増強されているかどーかは知りませんが、ここでのんびり日数をかけて様子見なんかしていると、ネルフが面子にかけてここまで遠征してきた場合、超法規的処置とかでここいら一帯の自由を縛りにくる可能性が大だからです。勝っても負けても被害は甚大、ヒメさんと竜尾道にとっていいことは何一つ無い。そして何より」
 
 
「ふむ、続けてくれシンジ殿」
 
 
「会食に遅れなくてもすみますよ。化粧とか着替えの時間はとってあるんでしょうから・・・・・よく分かりませんが、お付き合いは大事なんでしょう?」
 
 
ごぼっ
物凄い音が竜号機のノドのあたりからした。人間でいえば咳き込む動作に近いのだが、その気になれば高温の炎も吹ける竜号機がそれをやるとかなり危ない。実際、その余波なのかかなり熱めの蒸気が境内に吹き渡った。「あちっ」碇シンジもこの程度ですみはしたが。
 
 
「す、すまないシンジ殿・・・思わず噎せてしまった・・・・そ、そんなことを言うから」
 
 
なにがツボであったのか碇シンジにはさっぱり分からない。どちらかといえば、ハードボイルドな感じで決めたつもりなのだけれど。今のはどのへんにかかる枕コトバだったのか。
 
 
「シンジ殿は・・・・男なのだから・・・・そんなことは、言わなくても・・・・・・」
 
どこらへんが可笑しいのか、さっぱり分からない。ネルフの現在戦力があまりにもドテカボチャであるから吹いているのではないらしいが。
 
 
「まるで、女房のようだ・・・・・・それも、外を知らない新妻だ・・・・・」
 
 
愕然とした。屈辱と言えば屈辱なのだが、歳が十四でそのように言われることはトータルで賢い、と言われているのかもしれない。絶望は、しない。そう考えてしまう自分がイヤだ。これは別にポジティブ思考法ではあるまい。
 
 
「とはいえ、指摘自体はおそらく正しい。最近、出戻りしてきたどなたかが妙な仕込みをしている可能性もあるしな・・・・シンジ殿」
 
「はい?」
ネガティブな雲に乗ってどこかに行ってしまうわけにもいかない。今はここに立っている。
厳しくキツい苦しくて悲しい質問がこようと、それらしくリターンせねばならない。
しかしその内容によっては、ちょっと涙が出てしまうかもしれないが。
 
 
「先ほど、外に出た時、”恐ろしいこと”はなかったか?たとえるなら、天敵に睨まれているような・・・」
 
 
意表を突かれてずいぶんと奇妙なことを聞かれた。かなりの暴投だった。こちらの天敵はあなただし、いきなり竜につかまれて空飛んで恐くない人間がそうそういるかい!などとこういうのは素直にリターンしてはいけない。使徒が人類の天敵であるとか、そんな題目を聞きたいわけでもあるまい。水上左眼が聞いているのはもっと別のことだろう。その割には質問の仕方がずいぶんと不出来だった。と、なると・・・こちらの反応そのものが試験紙になるのだろう。適当に答えておくのが一番。勝手に向こうで判断してくれる。
あの苺ショートにも目玉はなかった気がする。
 
 
「いいえ、甘いモノは苦手ではありませんし」
 
 
一方的な捕食関係?冗談じゃないぞ、というテイストを言外に匂わせながら。
さすがにこれでは怒るかも知れないな、というてきとー具合の返答であるが、
 
 
「そうか。それならいい」
 
どう納得したのか、これもよく分からない。分からない方がいい部類のことだろう。多分。
ここで、何か無茶苦茶恐い強烈なオーラをビシビシと感じました!などと答えていいことはなにもないし。水上左眼の立場にしてみればここは隠れ里にこもって静観、というのが誰が考えても最上であろうし、洞ヶ峠を決め込んでも責められる者は誰もおるまい。
 
それをけしかけて使徒と戦わせようというのだから、我ながらひどいやつだ・・・・
この非道無道を身に刻むため、大惨事を呼ぶ男、碇サンジとかに変名しようかしら・・・
 
 
 
「私も、シンジ殿のその一言が欲しかったのだ」
 
 
意外なことを言われた。もしや、最初から孤剣をもって戦うつもりでいたのだろうか・・・・・もしそうなら、その勇気と誇りと竜の剣士の物語を後生にあまねく伝えるために自分は吟遊伝記ライターになってもいい。
 
 
「最強の福音を預かっていたシンジ殿のな」
 
 
過去形だけど事実だからしょうがない。もしや、背中を押す一言が欲しいばかりに、こんなまわりくどいことを・・・・・そう考えると、寺に綾波コナミとともにやってきた時の、少々お酒がまわっていたような微妙な高揚感にも納得がいく。そうか、ヒメさんも不安だったのか・・・
 
 
「ヒメさん・・・・・」
 
 
「日陰者にこんな花形がまわってくるとはな・・・・・」
 
 
今ぼそっとなんつったこの人?・・・・・どうも何か食い違いがあるような気がしてしかたがないけど。きっと、そうだ。たぶんそうだ。とりあえず、気が変わらないうちに
 
 
「あの苺ショートの真っ赤な苺部分が弱点です!あれを破壊してください!」
 
使徒の弱点たるコアの話をしておく。ここで機密保持がどうのということはいってられない。それは人類の共通の知的財産だと、思う。あえて、断固とした口調で!理系シリアスに。
 
 
「苺・・・・・・あの赤い球体部分か。あれを切断すればいいのか・・・・さすがだ」
 
 
「そ、そうなんですよ」
なぜか水上左眼が、なるほど、と言わず、ここで、さすが、と言ったのか少しひっかかったが納得してもらえるのなら無駄につつくこともない、と思った碇シンジ。
 
 
「でも、ATフィールドの中和とか、ワンタイミングでうまくいかなかった場合もあるでしょうから、その時はあきらめてすぐに戻ってきてください。ネルフに任せましょう」
 
だが、ここがネックになるのだが、竜号機がどこまでやれて、今回の使徒がどれほどの力量を持っているのか、さっぱり分からないこと。一応、外に出されてこの目で確認したけれど数字で戦闘力がはじき出される便利な機能などついていない。肌感覚でガタガタ震えがくるほどの怖さを感じるほどではないけど、強者はそれを隠す能にも長けている。ヒメさんにすればそういった「強者は強者を知る」とか「有段者は胴着の着こなしで分かる」的なことを期待したのかもしれないけど、そういうことは使徒には通じないのだ。
 
かろうじて、分かるのは赤のコアが弱点である、ということだけ。ひどい学習成果だ。
なんせ、ここまで間近にあって竜号機の実力だっていまいち分からないのだから。
 
 
 
しかし
 
 
 
「シンジ殿、それはない」
 
 
 
一言で水上左眼に切り捨てられた。あまりの鮮やかさで斬られたことにも気づかない・・・・とかいうのは自分の体で体験してみたい、とは思わないけど、自分の発言が血しぶきをあげて切り捨て御免にされてしまったのはすぐに分かった。もちろん、面白くないし根拠もなく自信たっぷりの奴はたいてい痛い目みるのが使徒戦のお約束であり、これも自分たちが体で得た数少ない教訓のうちのひとつだ。鉄則といっていい。それを無視すればうまくいくのもいきませんよヒメさん、とたしなめてやろうかと思ったが・・・・
 
 
ぞく
 
 
ここで震えと寒気がいちどきにきた。巨大な刃でできた牢屋に閉じこめられたような。
 
竜号機が戦闘態勢に入ったのだ。咳き込みひとつで熱風を発生させたものが今は逆に周囲から熱を奪ってでもいるような・・・・それでいて、指先ひとつも動かせぬほどの威圧を感じる。エヴァの稼働を近くで感じてきた自分でもこれだ。明らかに、違う。血の代わりに何か冷たく別のものがゴンゴンと体内を流れているような・・・・死霊の涙・・・ふと思い浮かんだ言葉の不吉さにさらに寒気が倍加される。普通、人間がやる気になれば熱が放散されるものだが・・・・この竜は。うーむ、もしかして怒ってらっしゃるのか。
 
いわゆる逆鱗に触れた、とかなんとか。冷血動物が温血動物に怒れば確かに怒りを持続させるため温度のある血をズズイと啜りにくる、というのはありえるかも。しかし、怒られるようなことを言った覚えは・・・・・ないけどなあ・・・・・ない、と思う。たぶんないんじゃないかな・・・・魔ァ・・ちょっと覚悟しておく必要があるのか・・・・・
 
 
「使徒というものに多少でも知恵があるなら、ここを狙うだろう」
 
 
「・・・・」
樹氷になった。
 
 
「役者のそろったこの竜尾道と・・・ユイ様のおられる高野の霧街。この周辺の厄除け討ち払いは私の仕事だ・・・・それを、果たせないとでも?」
 
 
「・・・・・・」
アイス・モンスターになった。
 
 
「ユイ様が見ておられる・・・では、行って参ります」
 
 
「・・・・・・」
雪だるまになった。折れた枝で、敬礼。ぺき
 
 
「それからシンジ殿、ご助言ありがたく。・・・試したことは、お詫びします」
 
 
竜が飛んでいった。そよ風一つ残さない職人芸の加速上昇はすぐさま竜を視界から消した。
取り残された碇シンジの胸に去来するものすごく重たい罪悪感・・・・・・・そして突き立てられた数々の死にフラグ・・・・・・やばい、これはヒメさん死んじゃうよ・・・・
 
 
 
「・・・シンジ」
父親の碇ゲンドウがいまごろ出てきた。
 
 
「父さん・・・・」
耐え難い寒さが胸の内にあるが、まさか父親に抱きしめてもらうわけにもいくまい。
強いのか弱いのかよく分からない者を送り出すのがこんなにキツいとは・・・・・
強ければもう少し安心できるだろうし、弱ければいっそ止めるだろうし、それでも強くても勝つとは限らず、送り出すほか無いとなれば。
 
 
「父さん、僕は・・・・ヒメさんを・・・・」
隠れていればいいものを、そそのかして死地においやってしまった。言いたいことはいくらでもあるけど、使徒に返り討ちにあう最期、というのは・・・見たくはない。どのように言葉を重ねようと、やったことは、第三新東京市とネルフのための盾を用意した、ということだ。竜の紋がついてようと普通のものより頑丈だろうと人間の盾を使ったことには違いない。隠者からなけなしの身を守る盾を奪い、あらかじめ鎧でガチガチの武装兵士に与えたようなもので、まさにろくでなしひとでなしレベル7の悪業であった。
 
 
「悪くはなかった。が、語りすぎだな・・・・・面倒な仕事を押しつけられるぞ」
このあいだまでそれが仕事であった父親の返答はあっさりしている。それが人生のように。
 
 
「仕事くらいいくらでもやるよ!ヒメさんが無事なら・・・ああ、あんなにあっさり僕なんかのいうこと信じちゃって・・・まっしぐらにコアなんか狙ってそのままうまくズンパラリンといけばいいけど、いくらショートケーキだからって使徒だからそんなに甘くないだろうし・・・・狙いがあからさまなところをカウンターでツバメ返し!とかやられて・・・・・エントリープラグ射出!ってことになっても、信号受け付けません!とかオペレータの人に返されて、なにっ!?そんなバカな!!とか・・・ここ、ヒメさんをバックアップする部署とかあるの?そういえば・・・・」
 
 
「そんなものはないだろう。あの機体で全ての職能をこなすはずだ」
竜頭竜身竜尾、乗り手に命じることの出来る人材がそもそもいないのだから判断と責任と実行とを全てをあれ一体で担っている・・・・それは左眼の保険なのだろうが、危ういことこの上ない。そのあたりをやたらに肥大させて往生しているのが現体制のネルフ本部というのが皮肉である。
 
 
ずしーん
 
 
子泣きじじいドッキングもしくは巨人に踏まれて潰れたカンペンケースのような気持ちになる碇シンジ。追いやった感増大。うぐぐぐぐ・・・・・・・
しかし、ここで倒れられない。そんな資格はない。ショックを受ける資格すらない。
 
 
も は や こ れ ま で・・・・・
 
 
声には出せぬので、口をぱくぱく酸欠金魚のようにしてあえぎ出す碇シンジ。
腹の辺りを無意識に一文字に拳で行き来しているのは、切腹のつもりなのか。
 
 
息子ののたうつざまを見届けもせず、つ、と空の月に目をやると、そのまま碇ゲンドウは寺の中に戻ってしまう。境内に取り残される苦悩ダンシング中の貧窮舞踏・碇シンジ。
 
 
ひく
 
ひくっ
 
ぴく
 
ひくっ
 
 
沈痛にして悲痛な祈りそして、無慈悲の月光と問答をしているようでもあり、どんな人間にも立ち入ることの出来ない・・・ドン引き結界と化していた・・・・。このまま碇シンジが新たな芸風に目覚める前に、停止の声がかかった。
 
 
 
「何をしているんだ、シンジ殿」
竜号機から降り立った水上左眼だった。人には突破できないが、竜の力で砕破したのか。
 
 
「あ・・・ヒメさん・・・・・」
一応、見るに足はあり、その眼光も健在、竜号機にもダメージは見受けられない。
 
 
「言われたとおり、一撃で急所を斬ってカタがついた。さすがはシンジ殿」
満面の笑み、というわけではないが、さすがに普段よりは表情がライトな感じであった。
命のやり取りを制覇してきた興奮、というものは全く見受けられないが・・・・なんにせよ無事で良かった。
 
 
「良かった!」
さすがは水上左眼、使徒を一撃とは。なんだヒメさん強いんじゃないの!よかったよかった一方、こちらは大喜びの碇シンジ。おかげで新たな芸風は封印されることになった。
 
「さすがはヒメさん、僕なんかぜんぜんさすがでもお呼びでもないですよ!今さっきのはネルフ特製の第三新東京使徒撃滅音頭です!必要ないと思ってましたけど、縁起をかついでちょっと踊ってみました!やっぱり実力の勝利ですよね」
 
 
「シンジ殿のおかげだ。私の眼力では、弱点を見抜けなかった」
アッパーまるだしのあぶない碇シンジと対照的な嫌味のないクールさで水上左眼。
 
 
「謙遜ですね、僕なんて何も・・・・・弱点を見抜く?とは?」
相手が端的に事実だけを述べているのは分かった。が、その内容は分からない。
見抜くも何もああもドカンと目の前に分かりやすく弱点配置で見抜くも何もない。
嫌味であるなら流せばすむのだが、もし、そうでないとしたら・・・
 
 
それは、恐怖であった。
 
 
「弱点がああもわかりやすく露出されているとしたら、フェイクの可能性が高い。普通の者ならそれに囚われて、内部に真の弱点を求めかえって時間を浪費しただろう・・・私もその点の自信はまったくなかった。そこを、シンジ殿の慧眼はあっさり見抜いた」
 
 
ヱ?
 
 
「やはり、パイロットとして実戦をくぐり抜けてきた者の言葉は自信に満ちあふれ迷いがない。おかげで私の剣先にも乱れが生じようがなかった。ああまで断言されるとひどく簡単なことに思えてな・・・・そこまで考えておられたのだろう・・・歳は若いがさすがだ」
 
 
ゑ?
 
 
「”己の街”を守るために私を使う非情さといい、たいしたものだ。鉄の神経というべきかな・・・ああ、いいんだ。これは本当に誉めている。その視点でいうなら、第三新東京市”が”こちらの盾になる、ということにもなるのだから。実際、五分もかからなかった。試しにこの間購入してみた戦術シミュレーターに試算させてみたら、四十日などという結果がでていたんだがな・・・ふふ、返品するしかない。驚きよりも安心が欲しいのだから。三国一、はおそらくゲンドウ殿であろうから、シンジ殿は・・・そう、三海一の軍師だよ」
 
 
父親の先ほど言った言葉の意味が分かった。ちなみに三海というのは、瀬戸内海、有明海、日本海、くらいなのだろうけど。そんな名称ははじめて聞いたしタコやイカや鯛の軍師がいるわけでもなかろう。
 
 
「今回きりですめばいいが・・・それは絶対にないからな・・・・シンジ殿には引き続いて使徒戦における私の個人軍師をお願いする。何か必要なものがあれば遠慮無く城の方に言ってきてほしい・・・・・・・それでは、私はこれから予定通り会食に向かわせてもらう。せっかくシンジ殿が助言してくれたのだから・・・・・くくくく」
 
 
この場に父親がいれば、息子を盾にとっていいように束縛できる厄介な仕事をそちらにまわしたのだろうが、それを察知して碇ゲンドウは逃げた。さすがの察知能力だが、碇シンジにしてみれば。
 
 
マジDEATHか
 
 
破壊され気味の思考言語でうめくほかない。なんデスその個人軍師というのは。お仕えできるだけでしあわせですぅーとかいって忠誠心が給料の代わりになっていそうで微妙にお給料は出そうにない名称は。現物支給なのか?ゲームではないので断る選択肢はないし。
ヒメさんはさっさとバクチ場の打ち合わせ報告会(たぶん、そんなところだろう)に行ってしまっているし。そっちこそ鋼鉄の神経の持ち主じゃないか、と思う。
 
 
だけれど・・・・
 
 
水上左眼、ヒメさんはほんとに使徒を撃退してきたのだろうか・・・
この目でみていないので疑おうと思えば疑える・・・・ということではない。
これから仕事の打ち合わせにいくなどと・・・平然と、情緒が麻痺しているとしか。
 
 
そして、使徒を倒す、という大仕事を成した者に対してなんの感謝も賞賛もないこの街。
それはそうかもしれない。それを知る自分だってあっけにとられるだけでほめようとはしなかったのだから。まあ、そんな立場にないというのもあるが。・・・・あーうー。
 
 
 
去り際の「それは絶対にない」といった水上左眼の言葉の意味をもうちょっと考えてみるべきなのだが、碇シンジは。あーうーとか言ってないで。やはり軍師などとても向いていないのだろう。
 
 

 
 
 
捕獲専門の使徒<キャプエル>が刀をもつ竜によって一撃の下に敗れ去ったのを大使徒(VΛV)リエルが闇の山中にひそみじっと見届けていた。正確には、匂いを嗅いでいた。<ゼルエル>の匂いを感知した、と思ったがすぐに消えた。痕跡は追えなかった。あるところで綺麗さっぱり消失していた。海中に潜ったわけではない、その程度なら余裕で追跡できる。どういった隠匿技術なのか、興味が湧いた。破れたキャプエルを回収し己の毛皮袋の中で休眠させる。キャプエルにも捕獲できない幻想の獲物・・・・なかなか楽しい。
 
 
しゅりん
 
 
(VΛV)リエルは最近拾った刀を抜いた。東方剣主・幻世簫海雨である。見た目は(VΛV)リエルに合わせて小さくなっているが質量はそのまま、四次元ポケットめいた収納能力にてしまわれているが、その腰元にあることを異論を唱えることもなく静かに従っている。大海を割るほどの腕力と、大雨の中に立ち濡れることもない身捌きが必要とまでいわれ剣の主、とまで呼ばれたのは伊達ではないはずだが。
 
 
竜を見た時、腰にあるこの刀がじゅん、と濡れたのだ。
 
それを百獣の毛皮で拭いてやる。千鳥の羽毛で吸い取ってやる。
しばらくその刀身を見ていたが、また収める。
 
 
もう少し、あの竜の戦う様子を嗅ぎ取りたい・・・・・・
 
 
大使徒(VΛV)リエルはそう思い、もう少し手こずるであろう相手を召還することにした・・・
 
 
チャック全開の着ぐるみなみに体にあっていない三海一の軍師・碇シンジの化けの皮をはがすべく・・・・というわけではないのだが、結果的にそんな感じの使徒がまた襲来する。