「授業中に呼び出して済まなかった、シンジ殿」
 
「あ、いえ・・・あー、何かあったというか、”来た”、んですよね」
 
 
呼び出したのはここ竜尾道の守護者、臨戦状態の戦装束の水上左眼であり
 
呼び出された場所は、やはり大林寺ではなくもとは造船所であったとかいう竜号機のドックであった。
 
機体にあがるタラップのすぐそば。適当にもってきたパイプ椅子にすわってこれまた適当に持ってきたらしい木箱を机にして小型の端末を叩いていた・・・これでタバコでも吸っていたら中小企業の工場長みたいであり。
 
竜号機の周囲では何人か設備関連らしいスタッフが走り回っていたが、水上左眼のそばには誰もいない。忙しいやり取りをこぼれ聞くにどうもヒメさんはすでにもう一戦やらかしてきたような感じであった。
 
そして、それがまだ片付いていないことも専門用語はともかくなんとなく空気で分かる。
 
機体は暖めたまま。いつでも再出撃可能な状態で・・・・どうも自分を待っていた、らしい。その割に、あまり切迫感はないのだが。ちらと見る限りダメージらしいダメージは機体にもヒメさん当人にもない。いやさ、竜号機になにか物足りないような・・・違和感があったがそれがなんだか分からない・・・
 
・・・ああ、昨夜はゴテゴテぶら下げていた刀剣類が外されているのだと気づいた。
整備の段取りでのことなのか、第三新東京のように兵装ビルが表にあわるわけではないから、すぐに再戦する気なら、らしくない感じもするが。
 
 
ともあれ、
 
 
水上左眼が座ったまま目線でこちらにも座るように促すのでそれに従う碇シンジ。
 
昨夜の次が今日の午前中。第二襲撃がとんでもなく早い。一週間の猶予も与えてくれないなんて掟破りだ。と、嘆いてもしょうがない。まず怒るべき人間がこう平静でいると。
 
 
「とりあえず、これを見てくれないか」
端末のディスプレイ部分を折り曲げて180度展開状態にしてポンとキーを押すとホログラムが浮かび上がった。この自然光の下で見事なリアルさであるが驚くべきはそこではない。
 
 
 
「ぶどう・・・ですか」
 
 
まるまると実をたくさんつけた赤い葡萄が映っていた。胃から酸っぱいものが湧いてでてきたのは何もワインとかアルコールとか二日酔いした葛城ミサトを連想したわけではない。目の前の相手はただの葡萄をわざわざ呼び出して見せたあげくに「これから葡萄狩りに行きませんこと」とかいうわがままお嬢様キャラではない。
 
 
「そうだな・・・・葡萄型使徒、とでもいうのかな。こっちとの対比は・・・」
もう一回キーを押すと、隣に竜号機のホログラムがでてきた。見た目の体積でいえば竜号機のほぼ2体分。一気に呑み込まれたりすることはなさそうだが、逆にこっちが踏みつぶして終わり、というわけにもいきそうにない。そうだとすごく楽なのだが・・・・・
 
 
「なんかコアだらけって感じですね・・・・」
というか、コアしかないといった方がよいか。弱点をこれだけむき出しでぶらさげて・・・こういうのはアリなのだろうか・・・・まあ、ほとんどがフェイクなのだろうが・・・・それともコアがエンジンのようなものだとしたら、とんでもない運動能力を誇るとかヒメさんの竜号機の斬撃がかすりもしなかった、とか。そういうことなのか・・・・・
 
 
「一応、一撃離脱の落下斬術で2,3個斬ってみたのだが・・・・・」
 
 
斬れたらしい。当たるらしい。その調子でずばずば全部斬ってしまえばいいのに。
 
「駄目だった。手応えも搗きたての餅を斬るようなものだったがすぐにくっついた。コアに似たべつのものなのか、そういった性質なのか・・・・さらにタチの悪いことに粘液のようなものがくっついて刀が斬れなくなるおまけつきだ。洗浄と研ぎ直しを考えるととても採算が合わない・・・・いろいろ計算してみたんだが、どうしてもだ」
 
なにその対応の早さ。使徒の中のカスタマークレーム課にでもいたのだろうか。
そしてヒメさんがいたのは経理か。経理なの課。そして、そんなところに自分が呼ばれた理由はまさか粘液はがしのお手伝いというわけでもあるまい・・・それでもいいけど。
 
 
「妙案というか慧眼というか、どちらか片方でも両方でもいいのだが・・・シンジ殿」
 
ちっとは困った顔をしてから言えばいいものを、平然として当然の顔をして言ってくる。
 
向こうの言いたいことは分かる。とてもよく分かる。なんとか自慢の刀剣を汚さずにしかも短時間で使徒を倒したい、とそういうわけだ。具体的には、この葡萄使徒の中にある真のコアを見抜け、とかそういったことを求められている・・・・・・ごく簡単に。
 
 
じーっっとホログラムの葡萄使徒を念入りに見てみる碇シンジ・・・・
 
 
隅の方に数値のデータが出されている。位置データとして現在、使徒は「表」の竜尾道・・・旧尾道上空に浮遊中・・高度も維持・・・出現時刻はつい先頃、自分が生名シヌカたちとともに教室に着いた頃か。
 
 
竜号機の目から撮ったモデリングは多分正しいのだろうが・・・どれも似たような球状具合であり違いを見抜けと言われても・・・・奥の内部の方に弱点たる真コアがあるのだとしたら・・・・または、乾電池の並列つなぎじゃないが、この葡萄粒すべてがフェイクではなくほんとにコアであり繋がれておりどれか一つ一つを潰したり斬ったりしても効果がないのだとしたら・・・不死身性だけに特化した使徒、がいてもおかしくはない。
 
なんというか、昨夜の自分をあざ笑いにきたような感じの使徒だ・・・・・・このさらしっぷり。これは使徒のヌードといってもいいのだろうか・・・・うーむ・・・・
 
 
「ヒメさんが斬りかかった時、迎撃行動とかはしてこなかったんですか?」
 
この外見では攻撃方法も判然としない。というか、どう攻撃してくるのか想像できない。
これだけ稼働機関があるならそのパワーも相当なものだろうが・・・・やはり、必殺・葡萄ビーム!!とかそんな感じか。手足がないので武道は使えないだろうけど・・・・はあ、我ながら寒い。
 
 
「それは全くなかった。絶対領域もかなり薄い、な・・・誘われたのかも、しれないが」
 
ヒメさんのテンションが低い。どうも低い。もともと熱血気性ではないのだろうが・・・この連戦で文句もいわず泡もくってないという時点で褒め称えるべきかもしれないが。
ここら一帯の守護者を自認はしているようだが、手に負えないようならよそに任してしまおう、と考えることもできる柔軟さももっており。連続して使徒をぶっ倒してしまえばあらゆる意味で目立ちすぎる。面倒だしやる気あがらないし、今回ここはスルーしても・・・というのもひとつの判断であろう。
 
自分がなんか知恵というかアイデアを出さない限り
 
支配者の責を負う水上左眼のヒメさんがそう判断しても文句のつけようがない。
まさか自分のような中学生の文句が恐いわけがないから、ただ経験者のひらめきのようなものを期待されているのだろうけど・・・・・呼んでくれるだけ有り難いといえばありがたいが・・・
 
 
うーむ・・・・にしても・・・・・どうする?これ・・・・・
 
 
もう一度、葡萄使徒の姿をよく見てみる・・・・・弱点弱点コアコア・・・弱点弱点コアコア・・・目を皿のようにして・・・映像にキスするように・・・肉迫して見てみるが・・・
 
 
まあ、普通考えてみれば、大事な弱点であるコアは奥深くに宿されているに違いなく。
刀で斬っても斬りにくい、とかいう周囲のコアはニセモノと考えるべきであろう。
相手の出方も判明しない以上、通常火器の飛び道具・・・はどうせATフィールドを貫けないし貫けても奥深くまで着弾しないと意味がない・・・・・「槍」みたいな武器があれば・・・投擲できれば最高だけど・・・・・とりあえず中央部分をねらって刺し貫いてみるか・・・
 
 
考えてみるが、すぐに却下する。その程度のことは当然、ヒメさんも考えつくであろうし・・・何より的中率があまりに低すぎる。あの葡萄フォルムの中のただ一つが真のコアであった場合、使徒がそんなまっとうなところに弱点を隠しておいてくれるかどうか・・・・コアを隠すならコアの中・・・こちらの意表をつくだろう、これではヒメさんを納得させられない。おびただしくたわわに実ったコア葡萄。グツグツと怒りがわいてくる。
 
 
「シンジ殿」
 
 
水上左眼が求めてきた。軍師としての献策を。
瀬戸内海とあとふたつの海に冠する知恵を出せと。
 
下手な考え休むに似たり。もうタイムアップか、とは思わない。ここでアイデアを出さない自分が悪いのだ。ああー、なんかないのか閃け轟け唸れ悪魔的アイデア!!エロイムエッサイム我は求め訴えたりーーーーーーーー!!魂の叫びであったがそれに応じて紫黒の雷とともに魔界の学者が現れる、ということもなかった。
 
真剣味は十分に足りていただろうが、なんせ場所が悪かった。
 
 

 
 
聖母、ではなく、大使徒(VΛV)リエルが見ていた。もとい嗅いでいた。
 
 
旧尾道側にいながら竜尾道への入り口を探っている。今朝方召還したのは探知型使徒の<キフエル>とそれを護衛する純戦闘型<ポートエル>である。二体とも同じようなコアまるだしとまるみえの、言うなれば葡萄体型をしている。正確に言うならば、双方とも「食べかけの」葡萄であり、それが互いに絡み合い抱き合いしてひとつの葡萄の姿になっている。ほとんど見分けがつかないが、匂いを辿ればすぐに分かる。探知のための微粒子を放出しているのが<キフエル>で、出していないのが<ポートエル>だった。
 
 
どのような仕掛けで隠れているのか知らないが、キフエルの探知粒子を丁寧に慎重に追っていけば、数日のうちに竜の寝床へ至る・・・獣道ならぬ竜の道・・・つまり、(VΛV)リエルにしてみれば、”狩りの道”が判明する。おそらくゼルエルもそこにいるのだ。
 
 
そして、竜は臆病なのか用心深いのか・・・・・ポートエルに斬りつけただけで去っていった。脆さを知らぬ熟練の猛者の強かな柔軟性を覚えてか。まあ、これがキフエルであっても意味も無し。互いに補完補填しあうキフエルとポートエル、片方を少々傷つけたところですぐに再生する。議定心臓の連理化はこの二体を半融合させ代償に活動時間を短くさせたが、もとの使命が使命であるキフエルはもちろん、純戦闘系のポートエルが納得し満足しているのだからかまうまい。今回はキフエルのサポートを最優先としてダメージが出るまでポートエルに攻撃を許可していない。それでも十分であろうが。
 
 
ゼルエルでも出てくれば話は別だが・・・あの竜の怜悧すぎる斬撃では百年かかっても倒せまい・・・。人の技としてはたいしたものだが古びとにはそれを凌駕するものもあり、かつて見たことがあるものではポートエルの使徒柔術・シ技”餅流し”にはとても。
 
 
じわ・・・・・また腰元の海鳴る長剣が濡れた。
 
ああ、お前は違う。
 
(VΛV)リエルは東方剣主に音のない声で囁きかけた。
 
この大使徒たる我が使えば斬れるだろう。
だが、竜にも人にも斬れはしない。
お前が望むなら、狩りの時にお前を使うとしよう・・・・
 
 
音のない声でそう囁き、懐から取り出したとうの昔に滅んだ鳥の羽でその露を拭った。
 
びちゃ
 
そこに紫の液体が飛んできて鳥の羽も刀身も(VΛV)リエルの頬も塗らした。
 
紫の血は連理化された議定心臓が破壊された時に放出される。
 
・・・・・刹那での、敗北の証。ポートエルが守護しきれなかった。
己も、そして連理も。
 
どうやったのかはさほどに意味はない。ゼルエルの匂いはなく。キフエルの粒子も消滅した。竜は一撃で二体の使徒を仕留めると、猛りも誇示もせず早々に見えない巣穴へ戻っていった。
 
 
頬についた紫の血は敗北の証であるが、二体の生命・・・存在証明でもある。
 
ぺろ。舌で舐めとり己の体内に宿す(VΛV)リエル。連理化されてこの破壊具合ではポートエルはともかくキフエルの再生にかなりの時が必要となるだろう・・・・探知役として重宝していたのだが・・・・やられてしまった。
 
が、知ったこともある。
 
あの竜はただの竜ではなく、やはり人竜であるということだ。
 
幻想具合は半減したが、興味は増した。
 
 
あの竜は、人竜は、己の爪と牙を選ぶことができるらしい・・・。
 
相手に応じて、命を手にかける手段を選択するとは・・・・・・
 
 

 
 
 
「なんとか、うまくいきましたね・・・・・」
 
 
黒色白色青色吐息の碇シンジであったが、なんとか竜号機が使徒を倒してくれたらしいのでほっと檸檬の息をつく。安堵の甘さなどないが、体から力が抜けていく。結局、悪魔のごとく冴えたアイデアなど出るわけもなく。出てきたのはもう半分言いがかりのような・・・・我ながらでたらめな注文をよく実行したものだ、ヒメさんには兜を脱ぐしかない。なれというならチョンマゲにだってなりましょう、武将パンツをはけというならはきましょう。
 
 
”あの葡萄のかたまりをひとつのコアとして考えて、それを一気に叩き潰すような重量武器はないんですか”
 
 
いくらなんでもそんな都合のいい武器が、待ってました!こんな場合もあるかと思って!とか大見得をきってジャジャーン!!と出てくるわけないじゃないの・・・・・と言ってしまったあとで思う。だが、
 
 
”ないことも、ない”
 
 
というのが水上左眼の返答だった。
 
この緊急時に返答が微妙なのは、その品物がまだ代金についての話し合いがついてないとかで、所有権がこちらにあるとは言い難い代物だったかららしい。
 
かなり変わった武器で、向こうの注文通りに造ったのはいいが、現地に届けてみるとその武器を「持ち上げられないじゃないか!」とかで・・・・まあ、武器を持ち上げられなければ使えないから全く意味をなさなくなる。
 
 
理由は、「重いから」
 
 
・・・・エヴァ用の武装であるのは間違いなく、苦心の仕掛けできっちりぶっ叩けばATフィールドも破砕されるという。値段が張るのはしょうがないが、造った方にするとそんな理由で蹴られてもどうしようもない。契約を盾に必ず代金をとりたてる予定であったが、とりあえずそんなわけで持って帰って仕舞い込んでいたらしい。・・・この一件にはよほどムカついていたのかヒメさんが饒舌になっていた。この緊急時にそこでムカつけるんですから、さすがに器が違います。むかついたヒメさん相手に料金払わない方もすごいが。
 
実際、造れるくらいであるから竜号機はその重量武器を簡単に持ち上げてましたけど。
 
 
注文主は、英国のエヴァ十一号機。もちろんエヴァそれ自身が注文したわけではない。
 
その乗り手や管理者がしたのだろうが・・・・持ち上がらないって・・・・エヴァが?
 
 
そんなことってあるんだべなあ・・・・・と、牧歌的に感心している場合ではない。
 
実際に使徒を倒してみせれば箔がつくとかなんとか説き伏せて、「じゃあゲンドウ殿に交渉を手伝ってもらえるように頼んでもらっていいだろうか」とかそれが目的じゃないのか的にさらっと、でも、ヒメさんに「じゃあ」とか言われてちょっと嬉しくなって即OKしちゃったけど、まあそれは、しょうがない!!しょうがないんだ!!敵の血にまみれた代物を、渋る相手に強引に売りつけカタをつけるくらい、父さんなら軽いよ!たぶん!・・・・それにしても
 
桔梗やさんより桔梗やさんですよねヒメさんは・・・・・え?それって誉め言葉かって?
 
・・・・あたりまえじゃないですか。クラッカーですよ。当たり前だのクラッシャー。
ことばおじさんに怒られそうですケド。
 
 
 
「さすがはシンジ殿!では行って参ります」
マサカリ担いだ金太郎よろしく、なんかうってかわって意気揚々とヒメさんは出撃した。
仕込んである分も刀剣類は全て外してしまい、唯一の主武装は
 
 
英方斧主・曜呼斧(ヨーコ・オノ)
 
 
斧といいつつ、カブトムシの角を柄にしたようなそれは、切り込む作業よりも殴る作業に遙かに向いていた。羽部分を展開させればそれが刃になるらしいが、「それよりも絶対領域の破砕を考えるとこの甲虫の胴体部分で叩きつけた方が絶対に威力がある!」とヒメさんは断言していたし、そのように使うのだろう。「このインパクト時の振動部分には苦労したのです。重ねが特に重ね重ね・・」なんかこだわりがあるらしい。武器なんか強ければいいじゃん、とか口が裂けても言ってはいけないオーラだった。「刃先に速度がなければどうしても中和率がウンタラクンタラ(たぶん高等数学サンボダイ)・・・・」そもそもついていけないのだが。「全く・・・あのド近眼小僧、プログレッシブ肥後の守でも使っているがいいのさ。斧なんぞ千年早い。辞書の角で頭でも打っていろあの西洋福助」受け渡し時によほどもめたらしい。悪い意味で童心に戻っている感じ。それとも何か言われたのか。職人らしい執念深さというか粘着性というか・・・秘めているのがよーく分かりました。当然予想されうる本性だから特にギャップじゃないというか。
「・・・・シンジ殿なら、分かっていただけると思いますが」いえ、よく分からないんですが黙っておく。何を分からなければいけないのかすら。正直に告白する度胸はないしそんな状況でもない。
 
 
とにかく威力が浸透していく重たい打撃の方が相性はよさそうだ。斬撃を無効にする粘液がどれだけ打撃を阻んでくるか・・・・方針は決まり、竜宮城の乙姫ならぬ斧姫さまはそれを選び取ったのだからあとは任せて見物しているほかない。これで効かなければ他の手段を・・・とるか、それともスルーするか・・・にしても、ヒメさんの竜号機は・・・刀だけじゃないのか・・・それすら知らなかった。刀剣を扱うことに特化されているのかと思ったけれど。馬脚を現すどこじゃない、熊の背に乗りお馬の稽古、パワー系の金太郎属性までもっていたとは・・・・
 
 
旧の表と竜の裏の境界を戻り越えてすぐに「殲滅成功」の報が入り、木箱の上の端末画面に竜号機の目から転送されてきたらしい視覚情報が映し出された。
 
パープルグロ花火というか静脈爆弾炸裂というかボスコーン戦艦撃沈というか、見て楽しいとはほど遠い光景が目に焼き付いた。うわ。乙女のワイン造りなんてのどかなもんじゃ決してなかった。ぶちびちぶちびちびちびちぶちょぶちょびちょびちょぶぶばお!!というか連鎖崩壊というのは潔いカタルシスを感じさせるのではない、ことが分かった。
そりゃあ刀でずんばらりんとやられた方がはるかに楽であっただろう。歴史的ヤンキー風に表現すると、2015年、ヒメさんつくった斧道爆腐、とか。うーむ、いくら小細工をしたとしても生理的に駄目な人間は絶対に駄目だろう、この光景。
なんとか義務感で耐えたが。
なんにせよ、圧倒的であった。戦闘というよりは液汁製造ジュースプラント一工程、というに近い。
 
もしかして苦手分野がないんじゃないか・・・・・こんなのとがっぷり四つに組んで戦う日がくることなど、想像もしたくない。
 
こちらの出した半分ヤケの注文にしっかり応じて一撃潰殺。どういう腕力しているのか・・・・翼の出力も込みだとしてもとんでもない破壊力。レンズマンでいえばウォーゼルだと思っていたのが、バン・バスカークでもあったようで・・・
 
 
「シンジ殿の指示通り、うまくいきました。やはり経験者の言葉は袋小路にはまることなく先入観の壁を越え、勢いをつけてくれますね」
 
 
のしゃぶけみんぐ、のしゃぶけみんぐ・・・・・・降下してくるその姿を見ながらいつもとは違う真言を心の中で唱える碇シンジであった。
 
自分だって昔、似たようなことをしているくせに。
 
 
だから、歴史は繰り返す