スーパーロボット七つ目大戦γ
 
 
鉄人倶楽部ルート
 
 

 
 
 
私の名は、人造寺三郎・・・・・
 
 
探偵だ。
 
 
じんぞうじ、さぶろう、と読む。
 
 
そして、スピーカーで流しているわけでもないのに自然にジャジーな音楽が流れている・・・・・ジャジーといってもジャグジーの親戚ではない、ジャズ、JAZZをちょっと格好良く言ってみただけのことだ・・・・この事務所が「人造寺探偵事務所」。自宅も込みにしてあるから調査から疲れて帰ってもすぐに眠れる。ここからさいたまの奥地のマイホームに帰宅するような生活であったら大変だ。仕事場への行き帰りで一日が終わってしまう・・・。まあ、独身であるからこそ出来るのであるが、こういう真似は。
 
 
「先生、コーヒーどうですか!」
 
「あ、ああ。いただこうか・・・」
 
 
この、私を先生、と呼ぶ、頭からドラえもんの尻尾にもにたアンテナをはやしている、ちょっとテンション高めの女性は「能御苑洋子」のうみその・ようこ。名前の通りに有能な助手だ。何カ国語をも自在に操り直感力にやたらにすぐれ行動力もハンパではない、どこかのチャーリーズエンジェルでも務まりそうだが、縁あってうちで働いてもらっている。
 
 
ちなみに、嫁でもなんでもない。
その予定もまったくない。
 
 
「はい、どーぞ!」
 
元気よくコーヒーが出された。愛想が悪いよりはいいが、こう雰囲気というかムードというか・・・もうちょっと気怠げ成分と謎めき成分を加えてもらった方が私的にはいいのだが・・・・・・・うーむ・・・・すごい砂糖の量だ・・・・もちろん、探偵として歩き回ることの多い私はメタボなどには縁がないわけだが・・・・・・
 
 
「いやー、先生!コーヒーはブラックにかぎりますねえ!」
 
洋子くんがいつもと同じ事をいう。ちなみにこれは村田英雄先生の真似でも、嘘をついているわけでも、ない。さて、これはどういうことだろう?君にわかるだろうか?
 
 
さて、考えているその間、私は一服でも・・・・・
 
 
おや?もう分かってしまったか・・・・・・意外にせっかちだな、君も。
 
 
そう。
 
 
正解は・・・・・「黒砂糖をいれているから」だ。
 
 
異議を唱える者もいるだろうが、洋子君はそのように信じ切っているのだから仕方がない。
探偵は真実を解き明かすことも大事だが、人の心も守らねばならない・・・・
一度、真実を指摘して洋子君の思い違いを正そうとしたこともあったが・・・
 
 
「先生、黒砂糖どうですか!」
 
などと大真面目な顔して勧められたのでそこであきらめた。まさに、イノセントブラック。
 
 
 
そんな穏やかな午後。事務所に依頼人が現れた・・・・・
 
 
この時はまさか、あのようなことになるとは・・・・思いも寄らなかった・・・、と
 
 
たいていの探偵はこのようなことを呟いて、次回へのヒキにするものだが・・・・
 
 
私もその例に漏れない。奇矯なオリジナリティは必要ない・・・。
探偵は、事実を追い、依頼人の悩みを払う。それが仕事だからだ。
 
 
しかしながら・・・・今回の依頼人は少々、変わっていた。
 
別に首がないとか胴体が槍で貫かれているとか額の辺りに血文字で暗号が書かれているとか、そういうことではない・・・洋子くんのようにアンテナもなかった・・・・
 
 
「ロンド・ベル所属、ブライト・ノアといいます」
「同じく、アムロ・レイだ」
 
その名は知っていた。今年はずいぶんと景気がいい悪の軍団に、積年の恨みを晴らされコテンパンにやられた正義のロボット軍団の組長と若頭・・・いや明治組じゃなかったな、まあ、責任者、といったところか。ロボット軍団の組織構成まではさすがに分からない。
 
 
そんな彼らが探偵に何の用事か・・・・・・悪の軍団の本拠地に潜入して機密事項を探ってこい、という依頼なら断るしかない。そういうことは小島英夫監督に頼むべきだ・・・
 
 
さて、彼らの依頼とは・・・・
 
 
洋子君の淹れたコーヒーに微妙な顔をしている二人から話を聞くとしよう・・・・