「あっ・・・・」
鼻をつままれても分からない濃密な・・・真の闇・・・・というのは都会ではなかなかお目にかかれない。突然そこに放り込まれて上下の感覚さえも怪しくなる。
感覚の混乱は意識の混乱をすぐに招き寄せる。大声で誰かを呼びそうになる。
そのまえに・・・・
そっと手をにぎられた。ひんやりしてほっそりしている・・・。
その誰かは行く先を知っているらしい。導かれるままの篠田シンジ。
やがて、そっと手は離された。
ふたたび虚空に漂うことになる篠田シンジ。・・・・とんでもないところに来てしまった。今、何時なんだろう・・・・しかし時計は見えない。
「チンチコーレ!」「チンチコーレ!」
「チンチコーレ!」「チンチコーレ!」
「チンチコーレ!」「チンチコーレ!」
突然、闇を引き裂く怪しい叫び声。なんといったのか・・・・外国語だろうか・・・?
声色から、老若男女とりまぜて何人かいるらしいことがわかる。
数十人とか数百人とか云う数ではない。ひとけただろう。
ぼっ、ぼっ、ぼっ、ぼっ、ぼっ、ぼっ。
松明に見せかけたライトがついていく。それでも大した光量ではなく、室内はぼやけている。奥まったところに青い蛍光色で光っているロゴ・・・・紋章と云うべきだろうか・・・・その前に、まさしく悪い魔法使いのような格好の<リツ曜日>が現れた。
手には二股に分かれた赤い槍のような棒をもっている。

「<リツ曜日・・・・・
ざんっ
篠田シンジがその姿を認めて何か言おうとした瞬間、<リツ曜日>は槍を突いてきた。
トスッ
それで軽く胸を突かれる篠田シンジ。痛くはないし、それで入会の儀式は終わったらしい。
「はい、これであなたは正式なシチ曜会の会員、<シン曜日>になりました」
儀式の主催者、というよりは注射をし終わった女医のように言う<リツ曜日>。
ぱん、ぱーんっ、
クラッカーの音が鳴り響く。暗いのは変わらずだが、少し光量が増えたようだ。
ここにいる人間の顔がなんとなく見えてくる。
「よーこそ、悪徳と至善の狭間、無から有を生み出すパトスの渦潮、我らがシチ曜会へ。新しき同志よ」
なんか・・・・一応は歓迎してくれているらしい・・・・・。
そしてメンバーが紹介されるのは場所を移して、シチ曜会議室。
<リツ曜日>の口からだった。