スーパーロボット七つ目大戦α
 
 
<アルフィー・ミールート>
 
 

 
 
「どうだ!?そっちにいたか!!」
「いや、だめだ。見つからねえ!!・・・どこいったんだか・・・」
 
 
緊迫した顔で人探しに山の中を駆け回るマジンガー一家。よほどのことではビクともしない猛者たちの顔に焦りと強い心配が浮かんでいる。浮き足立つことなどないが、さすがにこれだけ探して見つからないというなら・・・・・
 
 
「あれだけ目立つ機体だからな・・・・最悪、何者かに捕獲されてしまった可能性もある」
最も責任のある長兄、デューク・フリードがここらを縄張りにする悪党軍団を調べてそこに踏み込んでやろうか、などと剛速球な事を考える。剣鉄也に目でサインを送ったり。
 
 
「アルフィミィちゃん・・・・・・一体、どこにいっただわさ・・・・・」
ボスでさえこの状況ではボケられない。真剣に行方知れずになった不思議少女のことを心配している。もはや、特訓どころではない。一家の末の妹が消えたのだ。それどころじゃなかった。
 
 
あの特訓第一日め。「飛べないスッポン事件」のあと、きまずいままに、食事を終えた彼らは気分転換、気合い復活、明日になればいい案も浮かぶさ、とさっさと寝てしまうことにした。さすがにキャンプファイヤーな気分ではない。
だが、それほど困っているわけでもない。
というか単にスペイザーを初号機につけてやればいいだけの話で、碇シンジの機嫌が直れば特訓もクリア確定だと分かって、デュークも鉄也も大安心。そのことを妹分たちに指摘されないと思いつかなかった兄貴にさんざん追いかけ回された碇シンジこそいい面の皮であるが、まあ、これも末弟の定番苦労であろう。美味しい目にだけあえるわけもない。
口頭での励ましの言葉などはなし。体力限界で爆睡しているわけだし、マジンガー一家の者として、一晩寝ればやる気が戻っているのは当然のことである。
だがまあ、碇シンジはまだ一家になって日が浅い。ガイナではあるがダイナではない。
ちと、心配ではあった。「「「大介さん、鉄也、甲児君たちとは、すこし違うからねえ・・・・・」」」牧場ひろみ、炎ジュン、弓さやかが首をひねって
 
 
「アルフィミィちゃんにまかせておきましょ」というわけで、本人の希望もあり、碇シンジとアルフィミィはふたりきりで夜を過ごした。末の弟妹にどうも寛容すぎる兄姉たちであった。かといって、間違いがおきるよーな、どうにかできる体力が碇シンジにあるわけでもなかったが。
「「「ひろみさん、マリア、ジュン、さやかさん、たちはなんであんなに楽しそうな顔しているんだ?」」」デューク、剣鉄也、兜甲児たちは首をかしげる。
 
 
 
そんな夜が明けてみると・・・・・・なんと、アルフィミィが消えている。ベルゼイン・リヒカイトもない。書き置きの類もない。夜中にお菓子が食べたくなってコンビニに買い出しにいったとかではない。そんなのはボスたちが山ほど持ってきているのだから。
 
 
「シンジが逃げるならまだ分からないでもないが・・・・・・」兜甲児たちは困惑する。
特訓がイヤになり、いったん逃げだし、そこで見つかり説教、改心して特訓に打ち込む、というのは黄金のパターンである。それは、あえてオッケーですらあった。のだが。
 
 
「え・・・・・なんで・・・・・・」碇シンジもこれにはショックを受けた。
疲労しきっていたので、特訓から帰ったあとなにやらなぐさめてくれたのは覚えているのだが、それで寝入ってしまったあとのことはさっぱりで、一夜を共にした、とか兜甲児たちにいわれてもまったく覚えがない。あればあったらやばい気もするが。
 
 
「シンジ君。僕の目を見て、答えるんだ・・・・・。君は昨夜、アルフィミィ君とふれあったようなことはないね・・・・なんというか、まあ、精神的ではない方面で、だ・・・・うん!なるほど僕の信じていた通りだ!シンジ君はそんなことができる男として最低のクズ野郎ではない!!・・・・というわけで、この失踪にはなにか別の原因があるのだろう!」
 
長兄らしく気を利かしてくれたのか、別にそんな心配は皆しとりゃせんのだが、そういったありがち疑惑が碇シンジを襲うことはなかったのだが。それでも、意識がなかったとはいえ、一番最後に一緒にいたのは自分であるから、なんとか手がかりらしきものを思い出そうとする。
 
 
「断りもなしにどこかへいくような子じゃないから・・・・・心配だわ」
炎ジュンがつぶやく。
「・・・・あたしも、予知できなかった。悪いことじゃなければ・・・・いいんだけど」
マリア・フリードも胸に手をやり、苦しい顔。
 
 
口調といい、そのナリといい、天然で、どこかぼけーふらーとしていそうなのだが、割合、アルフィミィはそういうことはきちっとしている。周りに迷惑かけてそれで素知らぬ顔、というのは幼いというよりは愚かであり、そうでない妹の方がやはり可愛い。
「ですの〜」などといいつつ。
きちんと、機会折々に、人との縁を保っていく。そんな知恵がある。
 
 
妖怪の姫君なんだけどなあ・・・・・・・・碇シンジもそんな点は感心していたくらいで。アスカや綾波さんでは、たぶんマジンガー一家にはこうも溶け込めないだろう。
だからこそ、人との縁をいとおしんでいるのだろうか・・・・・
 
 
ならばこそ、この消え方は・・・・・・
 
 
特訓はキャンセル、全員で手分けして、必死こいて探したが、まる一日かけても見つからない。人に言えない忘れ物でもして、ロンド・ベルに戻っているのではないか・・・
連絡もしてみたが、そうではないらしい。アルフィミィが特訓に耐えかねて逃げ出したとみたブライト艦長などは「特訓もいいが、ほどほどにしておきたまえ・・・・」などといらん忠告をしてデューク、剣鉄也にものすげえ迫力で睨まれる。正直に報告して大事にはできないだけに。「だ、だが、ほどほどでは特訓といわんことも確かであるしな・・・・まあ、がんばってくれ」
 
「ええ・・・・」
だが、特訓どころではなかった。
 
 
誰も夜中、気づかないほど綺麗な消え方からして、失踪はアルフィミィの意志だ。
さらわれた、というのは考えにくい。パイロットが欲しいなら同じ場所にいた碇シンジも連れていかれるべきだろう・・・・。
 
 
二日を費やしても足取りひとつ追えない。アルフィミィからなんの連絡もない。
こうなると、また話は変わってくる。出ていったのはアルフィミィの意志でも、その途中でなんらかのトラブルがあった可能性も・・・・
 
 
「ネルフには戻ってないのか?」心配のあまり少しやつれた兜甲児が三日目の味気ない、たんなる情報交換の場となっている食事の席で碇シンジに問うたが、それはありえない。
 
「いえ・・。それはないと思います・・・・」
碇シンジは首をふる。建前上はそんなことになっているが、実際はネルフ所属どころか、普通の人間ですらない。限りなく妖怪なのだ。どろろん少女なのだ。
 
 
(あっちの世界に帰ったのかもしれない・・・・)
もともと、なんでついてくることにしたのか今ひとつ、ふたつ不明な彼女だ。
気紛れでついてきたのなら、気紛れで帰ってしまったのもあり得る話だが・・・・
 
 
「でも・・・・・」肯ける話では、なかった。
結果的すぎるロンド・ベルへの単独出向、大戦への単独参戦。よし僕がネルフの大看板を背負って!、という気合いはないが、それでも不安も緊張もないわけではなかった。おまけに入ったのはマジンガー一家、というロンド・ベルでも最古参のチーム。たった一人で入り込んで溶け込むには、敷居が高くないとはとてもいえない。
一人より二人、の転校生心理。ああ、彼女が隣にいて、どれだけ気持ち楽になったか。
 
 
それなのに、ちょっと見落として間違っただけなのに、あんなにしおしおと気落ちした姿を見せてしまった・・・から、がっかりしてしまったのかもしれない・・・・けど
 
 
「こんなさよならは、まちがいだ!!」
 
いきなり、星空に向けて吼える碇シンジ。その叫びは、おそらく500マイル離れても、届いただろう。「シンジ・・・・」いったんは目を丸くしても、そこは熱血、兜甲児はニヤリと笑って「おお、そうだぜシンジ!、よく言った!」思い切り背中をどやしつける。
 
 
「必ず見つけてみせます!こう見えて、逃げた人を連れ戻すのはけっこう得意なんです!
逃げちゃダメなんです!!愛のレジスタンスで突き抜けるんです!!」
 
 
「お。おお・・・・・」
自分たちとはひと味ちがう、新世紀新機軸の熱血に、感動しているマジンガー一家。
いいシーンであった。自分たちでいうのもなんだが、いいシーンであった。これを邪魔する者はただではすまないだろう。きっと大けがをする。
 
 
だが、そこに・・・・・・・・
 
 
ずおおおおおおおおーーーーーーーーーーんん
 
 
鬼千匹が吼えるがごとく巨大質量が突っ込んでくる独特の音!!。いずれも百戦錬磨のパイロット。すぐさま接近する音の方角と方向を察してそこを見上げる。赤い、赤い人型が降ってくる!あれは・・・
 
 
「ベルゼイン・・・・」
「リヒカイト!?」
「アルフィミィ・・・!!」
「アルフィミィちゃん!!」
 
 
地上スレスレで着地体勢に入ろうとしたが、あちこちひどく傷ついており、片手片足がなかった。何か、片手で抱いているようであり、もとよりまともな着地は無理だったところ、最後にパイロットが気張ったのか、抱いた「何か」を少しでも少しでも損傷が少ないような降り方を選んだようで、ベルゼイン・リヒカイトは背中から落っこちた。
 
 
ずずずず・・・・・・・
 
 
ここからでも足に地から振動が伝わってくる。衝撃のでかさ、着地のまずさが分かる。
何を後生大事に抱えていたのか知らないが、パイロットの身よりも大事にされる代物など
あるわけがない。わずかでも重力に足掻けたなら、もはや荷物を捨て、残った手足を犠牲にして着地するべきだったのだ。
 
 
各機、墜落現場に急行する。言葉などない。一刻も一秒も早く駆けつけるのみ。
あれは攻撃の跡。ベルゼイン・リヒカイトが、アルフィミィが、彼らマジンガー一家の末の妹が、ここまでギタギタのズタズタにやられた・・・・・・帰ってこれなかった理由は。