スーパーロボット七つ目大戦α
 
<北部方面最終兵器ルート 2>
 
 

 
 
・・・・・・・・・・、というわけだったんですよ。戦闘が終わると、話かける間もなく飛んでいってしまいましたが」
 
「なるほど」
 
ロジャー・スミスの話を聞き終えた葛城ミサトが真剣な顔で一言。
 
 
「ロジャーさんが角川映画のファンだったのは分かったから」
 
 
「は?」
 
 
「そうよねえ・・・さいたまジュピターから時をかける少年少女もいるわけだし、ブレザーだったみたいだけど、”女子高生と機関銃”とくればそれはもう、・・・角川書店が総力をあげて造り上げた・・・・薬師丸ひろ子ロボ?」
 
 
「・・・・・」
 
さすがに泣きそうになるロジャー・スミス。この話を信じていないのなら、まだいい。が、目の前のこの雇い主ときたら、話自体は確かに理解しているくせに・・・・遊んでるのだ。しかも、この、記憶を失った街パラダイムシティからやって来たロジャー・ザ・ネゴシエイターがうまい反撃を思いつかない。百も承知でやっているのだから葛城ミサトも人が悪い。いくらそれが安堵のかたちだとしても。R・ドロシーにさえ理解できまい。
 
「ま、冗談はともかく・・・・・無事でいてくれてありがとう、ロジャーさん」
 
「え・・・・いえ、これも仕事ですから。交渉を終える前の出来事でしたし、ネゴシエイターの領域ですよ。ははは」
葛城ミサトに思わぬ笑顔を見せられると、思わずこんなことを言ってしまうのだから、ロジャー・スミスはこれからもコキ使われることになるだろう・・・・
 
 
「男って」R・ドロシー超合金断定。
 
 
「で、真面目な話になるんだけど、”その子”のことはちょっと皆には内緒にしといて。こっちでちょっと調べてみるから・・・・どうもあまりいい感じがしないのよ」
 
「ですね・・・・その件は、私にやらせてください。ま、なにせ助けてもらったわけですしね。このビッグオーが」
 
「そうねえ。この子、童顔だけどけっこう可愛いし・・・・いいんじゃなあい?」
ニマリ、としながらR・ドロシーが記録したその時の戦闘映像からおこした写真を見る。
ブレザー姿、童顔、破れた制服から生えている機械の翼、弾丸をどこから補充しているのか接続部分がいまひとつよく分からない、華奢なからだにそぐわない、機銃をもった・・・・その姿・・・・・援護ではなく、攪乱、ということは、ティターンズのエース級より”速かった”・・・・ということだ。確かにサイズのことがあるが、それでも・・・・
ニュータイプを相手にしてきたティターンズ相手にかすらせもしなかったという事実。
葛城ミサトは胃の腑を地獄のように苦いコーヒーが流れていく気分を味わう。
嬉しくもないインスピレーションが、舌の根を動かす。ロジャーさんだからいいか。
 
「ま、真面目な話なのでしょう!!」
 
「そうね・・・・この目つき・・・・人間の眼じゃない、偵察兵器の索敵レンズみたい・・・・一方的に敵を攻撃するだけで、防御する事なんて微塵も考えてない眼だわ・・・・」
 
「・・うっ」
この振幅の烈しさにちょっとついていけないところがあるロジャー・スミスである。
普段、この女性が見せる明るさは全くの擬態ではないのか・・・・
だけれど、真実はいつも苛酷で、それを見抜く眼力もまた。少女の追跡調査をするにつれ、それが正しかったことをロジャー・スミスは思い知ることになるのだが・・・。
 
 
「・・・・・」R・ドロシーが静かにそれを見ている。
 
 
「ま、なんにせよ、もうちょいで現地に到着で、この戦闘でもはやヒリュウ改・レフィーナ艦長の100パー、全幅の信頼を得たロジャーさんの働きのおかげで歓迎してもらえそうだしぃ」
 
「そ、それはもう、あとは貴女たちの到着待ちですから」
「やっぱりいいなぁ、ロジャーさんは」
 
 
応援に先行したデモンベインは東と西とを間違えて、摩周湖のあたりに行ってしまっていた・・・破壊力は認めるし、熱血の勢いはそりゃ文句のつけよーもなかったし、日本の地図なんてもってなかったのだろうし、・・・しょうがないといえばしょうがない・・・カナ・・・・いろいろと今後、考えないといけない。「だから妾はあの時”左”だと言ったではないか!!なにを聞いておったのだ汝は!!」「だから左に行ったからこうなったんじゃねえか!方角で言わなきゃ意味ねーだろ!・・・目印になる建物もねえし、原野ばっかりで」「ま、まあ、その点は考慮の余地があったかもしれぬ」「ふっ・・・カーナビも積んでいないのであるか?仕方がない、ここは天才である我が輩が”地図が読めない女性でも分かっちゃうおしゃべり行き先指示器”を造ってやるのであ〜る・・・・にしても、魔術師は方角を定めるのは得意技能のはずであるのだが」「港だから海が見える方向にいけばよかったロボ」・・・・・通信機からは騒がしいというか、なんというか、大事にならなかったからよかったもののてめえら・・・・な会話が。修正が必要かなあ、やっぱし。
 
 
さて。葛城ミサトたちが到着する前に、恒例の「作品紹介」などを。
 
 
「最終兵器彼女」・・・・・・高橋しんさんのマンガです。全七巻。一応、アニメ化もされてますから、範疇にいれてもよいかと。彼女はロボットなのかどうか?という疑問もありますが、それならエヴァもカテゴリーは人造人間なので・・・まあ、いいかなあ、と。
 
 
この星で一番最後のラブストーリー・・・・・・・・・僕たちは、恋していく
 
 
というのが決め文句。どんなお話かは・・・・・これは絶対マンガを読んだ方がよいので割愛します。全巻読めとはいいません。第一巻を読めば十分です。石龍は全巻どころか、弟も買ったので8冊も持ってます。その石龍が言うのです。全一巻でもありだったかもしれない、と。そのくらい衝撃がありました。すげえのです。ラスト好きです。というわけで、この七つ目大戦では全一巻だったら?というのを基本として話を進めていきます。
さいたまジュピター、ミーゼフォン、のあたりでお前さんにはそういうのを期待してない、ぞと言われそーですが、もちろん断りをいちいちいれるのは理由があります。
 
 
「経験すると、成長するの」と、彼女はいいます。コロネを隠れてたべながら。
 
 
シュミレーションRPGならば当然のことです。敵はだんだんと強くなるのですから、こちらも強くならないといけない。こちらのレベルがあがるにつれて、だんだんと敵が疲弊してきて弱くなる・・・という反比例パターンはあまりありません。
さて、最終兵器たる彼女、”ちせ”ちゃんは、成長すると人型におさまりきれずにビルを薙ぎたおす魔王ダンテみたいな黒く盛り上がった怪物や、松本零士の千年女王の空中戦艦みたいな巨大航空機になってしまいます。もしくは殺戮の天使バージョンなど。おおよそ人並み外れた存在に。最後まで勝ち残る、最強、そして最終の兵器。使徒に近いのかも。
戦闘の中で人間としての機能も壊れてしまい、残るのはそこに至る道のみ・・・・・。
 
 
というわけで、ひどく扱いにくい駒でありますので、今後もスパロボ参戦はなさそうです。
あるとしたら、完全独立の”ちせルート”になるのでしょう。救いのなさそうな。CEROの全年齢対応はむりそうな・・。
 
 
じゃあ、どのように葛城ミサトらドロン・ベルと関わっていくか・・・・・
これは先例があることはあるのです。「忍者戦士 飛影」というスーパーロボットインパクトに参戦していた謎の忍者ロボット「飛影」・・・レベルは99とやたらに強く、味方機ではあるのですが、操作できず、その出現もランダム。二回行動で戦場を駆け回って嵐まくって適当に去るなり味方機と合体したりします。いわゆるNPC、ノンプレイヤーキャラクターというやつです。戦闘になればひゅーとやってきて、戦闘が終われば、ひゅーと帰っていく・・・・そんな関わりになるのかどうか。ロジャー・スミス次第でしょう。
 
 
「経験すると、成長する」彼女を、仲間に迎えいれるべきか、どうか・・・・。
 
 
空中戦艦の舳先に、光翼をもった彼女が夕やけにむかって立っていた・・・・そんなイメージがあります。兵器の瞳でじっとみつめられて、味方か敵か、わからないまま。
 
 
ごめんね。ひとをころさない兵器なんて、ないんだよ?
 
 
ちなみに、北海道だから、彼女、だというのは些か早計です。マッハで飛翔する彼女ですからべつに地元に限らなくてもよいのです。東京でもさいたまでも、彼女の登場はありえます。やはり、北海道といえば。そして、微妙に地元から離れられない地域密着系といえば・・・・・