スーパーロボット七つ目大戦α
<力は必要、必要な力ルート5>
生体反応数<5>が<4>に減少した理由・・・・・
この目で見なければ信じられなかっただろう。
邪魔大王国将軍のアマソは特に目障りでよわっちい人間を先に片づけろ、という指示は出していないが、それでも数の差は学生服の少年が操る巨大ロボット一体とそれをサポートする怪鳥だけではしのぎきれずに、なんの防御攻撃手段ももたない生身の四人組にも迫ってくることになる。しかも、その中に見るからに可愛らしい女の子が二人もいれば、場違いを注意して避難するのが正義の味方なら、とっ捕まえていたぶってペロリと呑み込んでしまいたいのが悪党のサガである。というわけで、ハニワ幻人ガルガBである。体長13メートル、体重3.3トン、悪ロボの中では割合に小ぶりであるが、それでもトゲ付きサラマンダーのような生物的外見ではめっぽうでかく見える。人間が相手となればなおさら。地中を鋭い爪で自在に掘り進むことができる・・・ので、仲間を出し抜く格好で、邪魔をする青い巨大ロボの下を進んで、一気に四人組の目前までやってきた。
お嬢さんがた、こんにちわ、と挨拶がわりに炎を吐いてみたり。
完全にふいをつかれた少女はモロにそれを浴びた。
「つばさちゃん!!」
炎から守ろうと反射的に抱きついたもう一人の、
双子のように顔がそっくりの、少女もろとも。
「う!うう・・・・くそっ・・・間に合わなかったか・・・」
デモンベイン、エヴァ四号機が現地上空に到着したのは、この瞬間。
炎が少女たちを包んだその光景を、二体の眼が見た。
アル・アジフ、大十字九郎、渚カヲルが見た。
「・・いや、九郎待て。これは・・・」
消し炭になる・・・・・・・はずだった
そして、5ひく2で、生体反応は<3>になる・・・・はずなのだが・・・・
「生体反応は<4>、だね・・・・」
炎の中の二体の影が、「ひとつ」になっていく様を
アル・アジフ、大十字九郎、渚カヲルが見た。
炎に侵されるどころか、逆に支配していく無垢にして強靱な光
その中で生まれる「新しい力」を・・・・・・・
今、敗北条件(リミット)が切断される。
ドロン・ベルを縛りつけていた時間の鎖がダイアモンドダストと化して消える。
戦場のド真ん中に敗北を知らぬ誇り高い名剣二本が突き立てられる。魔を断つ剣、天の使いを解体するクレナイフ。降下しながら敵陣に向かって問答無用の掃射後、即、邪魔大王国に立ち向かい、入隊希望者たちを背に壁となるエヴァ四号機とデモンベイン。どっちの敵でどっちの味方か一目瞭然の位置取り。はんぱでなく目つきが怖い。
「多少はできそうなのが来たな・・・・ヒミカ様に捧げるクビが足りないと思っていたところだ。その意気込みだけは認めてやろう・・者共いけい!!」将軍アマソ(声・キートン山田)が岩面を楽しげに歪めて本腰を入れてハニワ幻人軍団をぶっつける。
もちろん、地上の人間などの勘定などしていなかった。
これで戦力は24対4となった。比率で6:1。これでもまだ圧倒的な差ではある。
だが、遅くはなかった。
遅くはなかった。
光は炎を押し退け、生まれた新しい人影をあらわす。数はひとつ。
すらりとした背の高い、長い髪の女・・・・・かよわい少女はどこにもいない。
金属の輝きを放ちでるところがでている女性の身体・・・・・モヒカンではなく腰まであるロングだがM78星雲からやってきた宇宙人によく似ている。ちなみにタイマーもない。サイズは多少成長はしていてもあくまで人間のそれだが。唇が凛々しく引き締まり、全身を覆うオーラはまさに戦士のそれ。
変身サイボーグ(?)は鋼鉄ジーグで慣れているはずだが、それでも思わぬ変身にあっけにとられるガルガB。そこに自分から攻める融合変身美女。
そのスキに残る二人も何か入った筒のようなもんを掲げて「変身」した。
こちらは男は男型、女は女型と一人ずつ融合せずに単独個人で変身している。いろいろ変身の種類があるのかもしれない。少女二人は背丈が足りないから合体するのかどうか、いずれにせよ、戦闘のための変身には違いない。アルフィーの音楽にのせてこちらもとんでもない素早さで駆け出しガルガを襲う。素人の動き方ではない。
「・・・ここにくるだけのことはあったか」
ニヤリ、と笑うアル・アジフ。あの炎の中で何があったのか、エメラルドの目は確かに。
「・・・彼女が喜びそうだね・・・・・」
渚カヲルもうっすら満足げに笑う。6:1の戦力差などその赤い瞳には映っていない。
「それにしたって、女の子に炎を吐くなんざ・・・・ちょっと許せそうもねえなあ・・・・アル、ちいっっと激しくいくぜ」
気力が限界ギリギリまで上がりきっている大十字九郎。拳をゴキゴキ鳴らす。
「おうおう、九郎が燃えておるわ。妾にはかなわぬが、なかなか可愛らしかったからの・・・・・やれ九郎!!妾が許す、大地の神を起こそうが徹底的に撃ちまくれ!!斬魔大聖ここにありとあの粘土細工どもに教えてやれ!!」
「応よ!!」
デモンベインが二丁拳銃クトゥグアとイタクァを召喚してハニワ幻人にむけて撃ちまくる。同時に、後方で抜け駆けガルガB(13メートル、3,3トン)が派手に蹴り飛ばされた。サイズ比を考えるとえらいパワーだ。デモベの圧倒射撃とその様子を見ながらあわせ考え、四号機の渚カヲルは銃後に憂い無しと判断する。ATフィールドで守らずとも、囲まれぬ限り自分の身は自分で守る力がある。あとは、学生服の少年との連携だな・・・・と考えていると、
”ドロン・ベルの方ですね”
簡潔にして強力なテレパシーが届いた。送信相手は学生服の少年。「バビル2世」と名乗ってきた。戦闘中のためいちいちこちらを見たりはしないが、間違いない。こうなると、話が早い。説明は一瞬で済む。おまけにこちらのことを四人組、(いまは三人だが)、に中継説明してくれるという。突然降ってきたのが、味方であるか、はたして敵の敵であるか、確かにそれは異なる。「思念のチャンネルも少し我々とは異なりますからね、彼らは」
バビル2世と四人組は最初からの仲間ではなく、ここで初めて出会っただけの関係らしいが、今やってきたばかりの自分たちよりは詳しいわけだ。それだけではない微妙なニュアンスがあるが。
とりあえず、敵を撃退して落ち着いた後で詳しい説明をしましょう、と。場慣れしている。
外見にそぐわずに相当な修羅場を、それもたった一人で越えてきた者だけがまとう孤高の風格がある。世俗の匂いがしない、不老不死の仙人のようでもある。能力の方は心配いらないが、少女たちが炎に包まれても態勢を崩さないその冷静冷徹さはドロン・ベルに入った場合・・・・まあ、それを考えるのはあとにしよう。渚カヲルはとりあえずヒリュウ改にむけて戦況の報告をやりつつ、ATフィールド八つ裂き光輪でハニワ幻人を輪切りにしていく。
「生存者は四名に変化なれど、死傷者無し・・・・・二体から一体に融合変身能力を持つものと考えられる・・・・詳細は続報にて」
ヒリュウ改の面子がそれでどれだけ救われるか、はあ、無事なのか良かった・・と深く深く息を吐く音が聞こえてくる。それはテレパシーではないのだけれど。