スーパーロボット七つ目大戦α
 
 
<そらとつちとをうずめもします ルート>
 
 

 
 
合体マップ兵器・・・・
 
 
碇シンジが提唱したそれは、はたして?いったい!いかなる!?ものなのか・・・・・・
 
 
それを理解する前に、「マップ兵器」というものがどんなものであるのか知らなければ理解のしようがないのでそれについて説明しよう。その名の通り、マップ上で複数の敵をまとめて攻撃できる兵器のことであるが、この攻撃の特性として、まず反撃を受けないことがあげられる。戦闘フェイズに入る前に、つまりは相手が気づく前に先手必勝で大規模遠距離攻撃を仕掛けているわけである。よって、通常攻撃と異なり敵の反撃を喰らわない。おまけに敵がたとえ隣接していようとその攻撃範囲がケタ違いであるため、援護防御した者もまとめて薙ぎ払うので、弱い割にはうじゃうじゃ群れる敵を一掃するにはこれほど適当な武装もない。通常の戦闘ルールを逸脱した、または一段階次元が違う、ルールをその時だけ改正した、まあ、正々堂々とはいいかねるが、極めつきに強烈な兵器ではある。
 
だが、それだけに両刃の剣であり、それは攻撃の影響範囲内であれば、味方であろうと見境なく滅ぼしにかかる。乱戦になれば下手に使えない代物でもあるわけだ。
世の中には、敵と味方を判別して、ダメージを敵にだけ与える賢いというか都合のよいマップ兵器をもつロボットもいる。魔法の力をからめた魔装機神サイバスターのサイ・フラッシュや、人並み外れた器用さと感性をもった人の革新、アムロ・レイはνガンダムのフィン・ファンネルなど。
 
だが、まあそういったマホーの力や、キヨーな感受性は我らがマジンガー一家に期待できるものではない。
 
 
つまり要約すると、一対一ではなく、一対多の、一方的攻撃可能な、ものすごーい兵器、
 
というわけだ。おまけに、カットインまでつく!。パイロット垂涎の兵器であった。
 
それだけに、そんじょそこらのロボットがもたしてもらえる代物ではない。
必殺技クラスの武装に改造に改造を重ねて、これ以上なき究極レベルにまで改造仕切ったときに、ごほーびのようにマップ兵器に「変身」することもないではない・・・・奥の深いこの業界では。だが、現時点のマジンガー一家には、残念ながらマップ兵器をもっているロボはいない。
 
「特訓」 をすれば、たいていのムチャは許されるこの業界においても、マップ兵器の拾得まではちと遠いものがあった。そんなことになれば、皆が皆、特訓してロンド・ベルの全ての機体がマップ兵器を所有することになるだろう。科学者も博士もメカマンも失業だ。
 
 
ただ特訓してマップ兵器を手に入れよう、という話であれば、碇シンジもその考えの甘さを百戦錬磨の兄たちにこんこんと諭されたであろうが、そこに「合体」とつくと、また話が変わってくる。
 
「合体」とくれば、相当のムチャも許される、というか、ムチャでなければ合体などできない。ゲッターチームなどもなんで自分たちが合体できるのかなどと考え始めれば合体できなくなるだろう。合体、それは限界を突き破る無限のエネルギーを秘めた熱き言霊である。ただ攻撃を合体させれば、それだけ強力になるなあ、という次元の話ではない。
1足す1は2,ではなく、1足す1は百!!これくらいの次元の話なのである。
その延長上にマップ兵器の取得がある。遠き道もワープすれば近くなる。
 
 
「四つの雷で大きな網をつくるんです」
 
 
碇シンジはこう言った。グレンダイザーのスペースサンダー、グレートマジンガーのサンダーブレイク、エヴァ初号機のATサンダー、ベルゼイン・リヒカイトの黄泉八雷、(後者二機は適当に、らしい名前をつけていた・・・ぽややんに見えて周囲に合わせてそつがない二人である)、それからマジンガーZのルストハリケーン。各機がマップの四方隅に移動して、頃合いに敵を中に包んで、そこめがけて雷系の必殺技を放ちつつ、無駄がないようにマジンガーZの風が攪拌すれば、
マップ兵器のように大量の相手を一時に倒せるだろう、というのが碇シンジの発想だった。
 
 
「これだけ雷を使う機体が集まって、一度に雷を使おうとすれば、普段とは比べものにならない大きな雷が呼べる気がするんです」
 
合体攻撃は隣接しての使用がセオリーとなっているが、その逆に、出来るだけの距離をとることでマップ兵器に転化する・・・合体マップ兵器・・・・・
 
 
戦闘マップ全域に大雷を落として敵をたおす、というわけだが・・・・・
 
この場合、グネグネザクザクとした雷のマークが影響範囲となり、そのライン上にあった敵はイオン粉みじんになることは間違いない。単純計算しても、ざっと四倍の威力である。
なおかつ、もともとキメの場面では気象を味方につけることすら可能なスーパーロボットである。四機が同時に同エリアで同方向で天候を操作しようとしたときに一体どれだけのエネルギーが生まれるのか、想像もつかない。原初の地球の海に降るという超巨大な雷が見られるかもしれない・・・・が、その目標となるのはマジンガーZであり、兜甲児である。・・・これはただのマップ兵器ではない、「合体マップ兵器」なのだから。
 
四方から放たれる雷エネルギーを中央で、うまく操作してしぶとげな敵ボスにはとりわけ強烈に喰らうようにしなければならない。これはあくまで最後の必殺大技である。
なぜならば、元来その強固な装甲をもって壁役となるはずのマジンガーたちが、隅の方へ散ってしまっているからだ。そうなれば、当然敵には中央突破される可能性が高くなる。
装甲の薄いモビルスーツや、主役級ではないロボたちはひとたまりもなかろう・・・・。
危険も危険、まともな戦術とはかけ離れた、ちょいとでも頭がある指揮官ならばとてもやらない、大バクチ攻撃であった。そして、ちょいとでも風の案配をしくじれば、マジンガーZは味方であるはずの四機の雷をモロにくらって、鉄の城といえど炎上落城するほかあるまい。だが、そこで舵をとるかどうかでこの技が単なる大範囲のマップ兵器で終わるか、はたまたそこから一歩も二歩も三歩も踏み出した、マジンガー一家の名にふさわしい記念すべき大攻撃になるかどうか決まる。攻撃を集束させない分、エネルギーは大きいものの、必殺度にかける、というのが従来のマップ兵器の評価であった。
 
 
「鉄に雷で、鉄雷(らい)とよんで、それは金属の壺の意味ですの〜」
事前に相談していたわけでもなかろうに、碇シンジを雑学でフォローするアルフィミィ。
「へえ」などと戦く皆に一息つかせている。
 
 
周囲の雑魚を砕いてきた大いなる破壊力の雷波を組み上げてさらに敵ボスにぶちまける・・・・無駄がないのはいいが、・そんなのどうすりゃできるんだよ・・・・下手にアメリカでUFO研究などしてきただけに、その発想に、理解を拒否して苦悩する兜甲児。顔色が悪い。
 
 
「で、なるべくリーダークラスの敵をとりこぼすことがないように、雷の炸裂パターンを何種類か、考えてみました。同じ流れだとすぐ敵に読まれてしまいますから」
マップ兵器は脅威だが、その射程範囲にさえ入らなければよい、というのもまた事実。
たとえば戦艦のマップ兵器などであれば、側面や後方にまわりこめばいい話。
ここらへんのことをなぜ碇シンジが思いつくかというと、葛城ミサトの薫陶・・・ではむろんなく、日向マコトあたりから貸してもらった大昔の戦国シュミレーションゲーム、信長の野望だの三国志だので陣形の入れ替えの発想からきている。
 
 
末弟の意外な饒舌ぶりに、あっけにとられていた兄姉たちであったが、そろそろ気を取り戻してきて、晴れ舞台と死地とを両方与えられている三男の顔色に気づいた。
 
 
雷の結界(バリヤー)を作る、ということであろう、要するに。研究所が危ないときに張られるあれみたいなもんだろう、という理解でたぶんいい、と思う(デューク脳)。実際に出来るかどうかはやってみればすぐに分かるから、その検証はあとでいい。ブレインストーミングの段階ではアイデアをどんどんだしてもらうことが大事であり、それが末弟からなされたことが非常に重要だと、未来のフリード星の王様、現王子様であるところのデューク・フリードは考える。今年は豊作ぎみではこびる悪をたおすには、正義のロボットにもそれくらいの破壊力は必要だろう。剣鉄也も、うむうむ、と腕を組みながら深く肯いている。
 
 
「なかなか面白いアイデアだ、シンジ君」
 
 
「ありがとうございますっ」
ひとしきり、説明を終わらせてからデュークは、碇シンジを男らしい笑顔で褒め称えた。
男であれば誰しも胸がいっぱいになるような、いい笑顔であった。さすがに紅蓮の台座に座るべく漢だけのことはある。直接、誉められたわけでもないほかのものたちの顔も赤くなっている。そうして、デュークはつづける。
 
 
「雷系の武装をもたない甲児君のマジンガーZが最後の一撃をくわえるあたり、僕たちの深く強い絆を感じるよ」
 
そうなのだ。マジンガーZだけが、戦闘機体として、この一家の中で雷武装をもたない。
言ってみれば、仲間はずれになるわけだが。そこらへんを碇シンジも気を使ったのだろう。
べつに、兜甲児が嫌いでわざとやばげな舞台を用意したわけではない。ともあれ危険が怖いくらいならマジンガーなぞに乗らないだろうし。
 
 
「だけど・・・・
 
 
ルストハリケーンで雷を吹き散らすというのはやはり”科学的”に無理があるだろう
 
 
長兄の義務として、この業界では言うてはいかんことを言うデュークフリード。なるたけ避けたかったが、これも三男の苦悩を救うためである。その一言に兜甲児の顔色が少しよくなる。(よかったわね、甲児君・・・)それを察して、そっと他の者には見えないように手をつなぐ弓さやか。たとえ科学的に物理的に無理無茶不可能であろうと、いったん「これでやる!!」と路線が決定されてしまえば、あとは成功するまで「特訓」である。
成功しなければ、それが初めから無理な話でもあっても「根性なし」の烙印がおされてしまうわけである。兜甲児には耐え難いだろう。ロボットの、しかもスーパー系のロボットのパイロットもなかなか大変なのである。
 
「じゃ、じゃあオレは他の技に磨きをかけておくことにするよ!。マップ兵器の発想はいいと思うから、四人でがんばって・・・」
仲間はずれにされたとて、べつに悲しくもない。それどころか、特訓からうまく解放されるようでやれやれである。大介さんたちの世話は悪いけどジュンさんに任せて、さやかさんたちと川遊びというのもいいかなあ、などと兜甲児が妄想していると・・・・
 
 
「ここはやはり・・・・・
 
 
両腕での大車輪・・・名付けて、”雷車輪ロケットパンチ”といきたいね
 
 
「「さすが大介さん!!」」次兄と末弟が同時にそのネーミングに飛びつく。
 
 
「どうだろう!甲児君!」
星の王子、デュークがあまりにも、あまりにも輝く素敵な表情で笑みかけてくる。
さらなる危険度アップとさきほど仰った科学的考証は無視な方向で。
 
「え?」