スーパーロボット七つ目大戦β

 

 

<表が影なら裏が光、変身ライトホース!で本拠地ルート>

 

 

 

 

 

このままじゃまずいかな、とドロン・ベル首領葛城ミサトが考えだしたのは、宇宙人とつるんでいる小学生コンビ、つばさとヒカルの存在がある。

 

 

正確に言うとつるんでいるのはつばさ一人でヒカルは金属生命体でありその姿をつばさから借りて双子のように振舞っているだけでどちらかというと宇宙側の存在であるのだが・・・・まあ、分けて考えることなどせぬし人情的にいえばそんなたあできない。二人が合体してフィギュアなるミニウルトラマンのようなパワーを発揮するのだから二人で一人前、まあ、それはいい。

 

 

いまさら、この大戦に子供を引き込むのがどうこう、という考えはない。それをやりだすとロンド・ベルなど出撃不能機体がどれだけ・・・・それはちょっと怖い割合だ。本人も覚悟の上でやってきてるわけだし。云うてはいかんお約束だ。まあ、それはいい。

 

 

のだが・・・・・・・

 

 

今回のティターンズによる悪の軍団への「喧嘩売り行動」、作戦名・“巨人ころばし”はまんまとうまくいった。そのさなか、敵の本陣を肉体能力に優れた連中に探ってきてもらったわけだが・・・いわゆるスパイ活動、火事場なんとかだ。

その中に、フィギュア組も当然含まれる。向き不向きで言えば順当な仕事だ。

なんとかといえば、なんとかであり、いわば警察の反対語、みたいな。

 

 

    ・・・・・自己嫌悪などはない。作戦家として当然の配置をふっただけだ。

 

 

そして、情報収集は成功した。精神コマンド封鎖装置「コマンダー・ゼロ」の存在とそれに関連する敵の内情。笑いがとまらんほどの貴重情報ゲット。

 

それを、ロンド・ベルではなく。ドロン・ベル、自分たちが握っている。

 

それをどう活用するか・・・・腕の見せ所だと、やるぜやるぜやってやるぜ!!自らが主役になろうとする第三勢力ならば大いに気張るところであろうが。ドロン・ベルはロンド・ベルの味方である。影のサポートであることを任じ承知している。悪の大軍団を引き受けるには戦力的に足らぬし基盤もそのようになっていない。

 

 

一番よいのはこの情報を手土産に堂々とロンド・ベルと合流してしまうことである。葛城ミサトが葛城ミサトでなければ、ドロン・ベルの首領でなければ、早々にそうしていたことであろう。誰が考えても、それが一番の良策であるのだから。

 

 

だが、あえてそうしない。

 

 

最終的にはそうしても、今はまだその時期ではないと。判断した。

もう少しロンド・ベルには苦しんでもらい、そして強くなってもらう。

今現在悩み苦しんでいるロンド・ベルにしてみれば、いったいアンタ何様だというところであるが、その中に碇シンジもいるだろう点を考えると葛城ミサトもつらいものがあるのだが、それでも。今はまだ。

 

 

そうしてものを考える葛城ミサトは非常に凛凛しく、そして寂しい。

こんな大岩を転がしながら山頂に上って望遠鏡のぞくようなまねなどさっさと放棄してブライト艦長あたりの指揮下に入っちまったほうがはるかに楽。しかもこんな混戦時ならばなおさらである。正義も悪も参謀役は皆、胃を悪くしているはずだ。ここでそうならない者が采配する団体はいずれ凋落、敗北の坂道を下り落ちるはめになる。

 

 

しばらくドロン・ベル的活動を続けねばなるまい。悪軍団が調子をあげぬように撹乱し、メートルをあげてきたらその鼻面に素早いジャブを叩き込んで、正義はまだやる気十分なんだぞこのやろと教えてやる必要がある。

 

 

まあ、それはそれとして、パイロットたちも異論はない。

一番ありそうなバビル2世からも文句はない。その活動の中で現状ではまだ表に出ないヨミの行動を探っていく、という約束をしてあるからだ。

自分たちの戦いが世間で賞賛されなくても、別にいいよ、とロボット乗りとしては珍しく、こちらの胸が切なくなることを言ってくれる。軍人あがりではこうはいかない。戦力的にも、できることはそれくらいだ、とわかってもいる。

 

 

じゃあ、このままでも別にいいんじゃないの?ともう一人の葛城ミサトが囁く。

影なら影で影らしく。それも重要なことだと。渋い役だけどある意味おいしいし。

 

 

だけど・・・・・・・・・・・

 

 

小学生にあんまり裏の行動ばかりやらせるってのもどうよ?

あと宇宙人に。地球人の評判が宇宙的に悪くなるかもしんないし。

 

おまけに、このヒリュウ改の立場も考えてあげないとねえ・・・・レフィーナ艦長は将来がある身だし。日陰を飛ぶばかりってもの・・・・適当に手柄をあげてもらわないと軍にまるごと取り上げられるはめになるし。そうなりゃ宿無し足無しだ。それはかんべんしてもらいたい。

 

 

というわけで、影の遊撃部隊であるドロン・ベルの看板はそのままで、在籍人員はそのままでもうひとつ看板をあげることにする。

 

 

「ロボ・クラナド」

 

 

を。こちらは陽のあたる金看板である。ダークホースから一気に変身、日の当たる道を駆けるどころか自ら光を発しさえするライトホースへ!悪党にも堂々と宣戦布告したうえに迎え撃つ体制をとる。言ってみれば“毎回敵に襲撃される秘密基地”である。向こうから敵がやってきてそれを討ち取る。自分とこの第三新東京市が使えればいいのだが、使徒がでてこないとはいえ碇ゲンドウがそんなことを許可するはずがないし、好き好んであんなに人間が住んでるところでドンパチやるこたあない。

 

 

ドロン・ベルの看板はヒリュウ改にさげたまま。神出鬼没の都合のままに。

で、ロボ・クラナドの看板をさげる、いわば本拠地を決めなければならない。

 

 

 

    ・・・そんなことを考えていたのか・・・・

 

 

ヒリュウ改会議室。

 

 

自分たちの首領の頭の忙しさにさすがに驚くレフィーナ艦長、ショーン副長、城田氏、紫東遥、ロジャー・スミスたち頭脳労働組。R・ドロシーは記録役。

一同を驚かせたことにとくに悦にいるでもなく、平気な顔して続ける葛城ミサト。こうした席上で、この女はひどく面白みをなくすことがある。

 

 

地に足をどっしりとつけられるロボット部隊の本拠地。敵に襲撃される恐れがあるので民家は当然ないところ。けどまあ、ある程度離着陸のインフラが整っているところ。ヒリュウ改をつけられないのではまさしく意味がない。

 

 

ずいぶん都合のいい話である。こんなご時勢、楽園を探すよりもむつかしいかもしれない。

 

 

上記2点の条件などは、まだいいのだ。狭く見ても広い日本。どこかにいいところがあるに違いない。それに加えて

 

 

「まだ悪党軍団が本拠地にしてないところ、もしくはその近くは避ける」

となるとかなり厄介になってくる。不思議なことにそのような条件のよさげな場所は悪党軍団がすでに陣取っていたりするのだ。求める条件付けが似ているのだから当然といえば当然のことだが・・・

 

 

その話をされたときに紫東遥が「もしやニライカナイ・・・」むつかしい顔をしたが、違った。「沖縄もいいんだけどね・・・・テラさんの厄介になるのもね」喜んでいいはずなのだが、難しい顔。それから、ほっとしたように。本来は逆のはずだが。女心は複雑なのだね・・・ロジャー・スミスはかっこつける。が。

「・・・・」ドロシーに見つめられてちょっと怯える。アンドロイドに胸中を見透かされる交渉人というのも・・・。

 

 

「そんな都合のいい場所があるのですか?」現実派の城田氏が問う。それもんの条件でまた自分たちに探せといわれると、さすがに簡単には呑めない。いつくか候補地は浮かぶが、ただ隠れ住むのならまだしもヒリュウ改の発進などがネックになる。できれば、その離着陸はおおっぴらにしたくはない。それではドロン・ベルの神出鬼没性が減少する。自ら任じた特性を減らしてまで二枚看板をかける愚をおかすことはあるまい。・・・・・・この指揮者に限って。

 

 

「うーん、どちらなのでしょう・・・」レフィーナ艦長が困ったように。

男であればすぐさま教えてあげたくなる無意識にして必殺のしな。

さすがです!艦長。内心でサムズ・アップで素敵に叫ぶショーン副長。

 

 

「ヒントは“鳥取県”です。分かったら発進してください」

だが葛城ミサトには通用しない。にやっと、人の悪い笑みを浮かべると席を立ち首脳陣を残して会議室から出て行った。

 

 

「え・・・・・・?」

あっけにとられる一同。

 

 

「三十分以内に分からなかったら、なんかおごってもらいます。では」

扉から首だけだして、そんなことを一方的に告げて。