「遅いのら!!」
 
 
牢屋を開けると同時に怒られた。「はあ、すいません・・・」碇シンイチ(仮)がいちおう謝ってみせたのは、葛城家の生活での習い性であったか、ゲームブッカーとしての判断だったか。とりあえずまだ選択肢は出現していない。
 
遅参を怒っているのは、黒くて赤い髪の童女。小さな冠をちょっこんと頭にのっけているから姫ではあるのだろうが・・・これで美人とか人格優れてるとか頭脳優秀とか言いきれるのはおじいちゃんとおばあちゃんくらいなものであろう。しかも着ているものもドレスではなく、だぼだぼの、歩けば引き摺るほどの白衣と・・・深紅のプラグスーツ。このセンスは。
 
 
「君は・・・・ナオコ姫?」
 
少なくとも、ナオミではない。人捜しクエストはまだ終わらない。が、その前に。
この「”撃滅!ユダドクロンの挑戦!”」のケリはつけねばなるまい。
 
 
「僕の名前を変えたのは君?」
 
 
「わらわの名は赤木ナオラーコ。ユダロン現象の再現をほぼ成功させた超天才なのら!」
 
誇らしげに黒赤髪の童女が。本当だとすれば確かに天才では追いつかぬほどの超がつく。
 
 
「”碇シンジ”。名前を元に戻して欲しいら?」
そして、はっきりと発音してきた。間違いない犯人だ。
 
 
「お願いします。ナオラーコ姫」
 
しかし低姿勢に出る碇シンイチ(仮)。すぐさまとっ捕まえて警察に突き出しても解決する話ではない。短気は損気。「いろいろ苦労して、姫を牢から解放して差し上げるわけですからご褒美にそうしてもらえると恐悦至極」旅の仲間たちにどう思われても、名前を取り戻すのが先。いろいろ聞きたいこともあるし、機嫌を損ねてもいいことはない。
 
 
「お前がここに来たのは、わらわがそう仕向けた結果なのら。お前の意思じゃないから感謝するいわれはないら。ただのわらわの計略勝ちなのら!」
そう言われればそうなのだが。どうも、童女の口調からするに演技や演出ではなく、ほんとうにナオラーコは囚われていたようだ。「ユダロンのくせに!あんな選択でわらわを足止めしようとか!笑わせるら!碇シンジ、お前もそう思うら?」
 
 
愛想笑いをうかべて同意するなら<2727>へ
「思いません!」ビシッとキリッと言ってやるなら<143>へ
 
 
 
<2727>
 
 
」毒を喰らわば皿まで。追従するなら最後まで。天才は取り扱い要注意。どんな選択肢ではめたのかは知らないが、想像すると確かに面白くはある。面白いから笑う。これ自然現象。
 
 
「笑うなーーーーーーーーー!!」
 
 
なぜかバチギレされてしまった!赤木ナオラーコの友好ポイント、マイナス100万点すること。笑ってはまずかったらしい。かわいらしくはあるが。非常にマズい予感とともに<33>へ行くが良い。
 
 
 
<33>
 
 
「元より、お前がいなくなればナオミが困り果てるから、誰も知らない場所に50年ばかり閉じ込めてやるつもりだったが、この城ごとぺしゃんこにしてやるら!来るら!ユダドクロン!!」
 
 
ナオラーコが呼ぶと同時に、ズシン、ズシン、と振動音が。窓から見てみると、雲をつく巨人がこちらに向かっている。エヴァっぽいが頭の上にドクロをのせているので使徒っぽくもある。なぜか巨大な万年筆をもっている。あれが武装なのだろうか・・・そこはかとなく知性を感じるが、サイズがサイズであるからケンカになれば必ず負けるだろう。
しかも、賄賂は通じそうもない。
 
 
「撃滅っていうんだから、アレをやっつけないとクリアにならないのかもだね・・・」
 
 
「ちょっと!やばいやないですかシンイチ(仮)はん!あんなの絶対勝てんですよ!」
「勝手に動くあたり・・・・人質策は効果ありますかね〜」
「逃げるしかないと思いますが・・・そのつもりはないみたいですね」
 
 
 
これがラストバトルであるから逃げられない。おまけに、どのような選択肢を選ぼうと必殺されるので、<14>へ。
 
 
まあ、この局面でどうすればいいか、なんて君には分かっているのだろうから、そのようにしたまえ。そのためのアイテムも既に与えられている。それを使えばいいだけだ。