「あと5分。 こちらの要求に従わないのならネルフ総本部に向けて発射します」
 
 
「ちょっと待ってよ!!もう少し説明とか犯行声明とか心の闇を吐露しなさいよ!!せめて自己紹介とか!!ここまで大層なことやらかしてんだから!それに5分でエヴァの首だけ切断して地上にもってこいとかムリすぎでしょ!!」
 
いかにも慌てふためいたふうを装いながらなんとか相手の気を引こうと努力する葛城ミサト。接続不調とかであの陽電子砲が撃てない、とかならいいのだけど、期待度は金箔よりも薄いとか。ミサイルを始めとした遠隔攻撃もメイン中枢の計算機がこの状況では。
 
碇シンジ自身の首をよこせ、というのではないようでなので、不在カードを切っても意味はなさそうだ。目的がよくわからん。気づいていないうちに撃たれていれば被害の方は・・・・・トロフィーとして初号機の首を欲しているのか・・・こっちの面子を潰したいのか・・・・・近距離の格闘戦になれば、あの不細工な機体はステゴロに慣れきったうちのエヴァの敵じゃない・・・一番いいのは、ほんとにシンジ君が今ここにいて、初号機でGO!!してもらうことだろうけど・・・
 
「交渉は受け入れない そのつもりで」
 
仰る通りに、交渉なんて必要ない。もうカタついとるわ。発破しとるわ。もちろん向こうの要求に従う気などさらさらない。
 
「赤木・・・・カガガ」
視線はそらしたまま、赤木リツコ博士がぼそっと告げた。「なりきれかった戦闘人格・・戦争に折り合いをつけようとした女のペルソナ・・・」「ぜんぶ・・・わたしたち、赤木のシャドウ・・・・」「その才覚は嚢中の錐・・・必ず、悪用されるのは分かってたのに」
 
亜種だろうが、マギを作れるのは限られた天才オブ天才であることくらいは分かる。
さすがに気の毒なので聞き返すこともしなかった葛城ミサト。母親のコピー軍団とか。
破棄するわけにもいかない血の、才能の遺産。才能は負債だと誰かが言っていた。
このクラスの才ともなれば。どれほどの巨額となるのか。誰がそれを支払うのか。
こんなブラッド・マネーゲーム。どうすりゃ勝者になれるのか。賢者も黙して答えず。
 
 
「あと2分・・・・・たかが首一つ、それほど・・・多くの市民の生命より大事なのですか?碇シンジ君・・・・」
 
 
首がたくさんあるお前が言うな!!であるが、刺激するのもまずいので黙っておく発令所一同。「愚民どものうじゃついた生命など無価値よ!」的メンタルではそもそもこんな要求も出してこないであろうから、目的は都市の殲滅よりは制圧にあるのだろう。
 
 
原因不明のマギ障壁の不調も、なぜか復調回復してきて、亜種マギの攻勢を押しとどめることに成功している。そうなっても亜種マギ同士の足の引っ張り合いは続くのでこのままネルフ総本部が押し返すぞー!!うりゃー!!といった盛り上がり空気の中での物理脅迫攻撃。問答無用で一発撃っておけば、反撃の流れも一気に断ち切れたであろうに。
 
「こいつら、バラバラにやってんの?同じ赤木のくせに」
「そんな、のび太のくせに!!みたいに言わないで下さい!」
 
しずかちゃんのような清らかさで、尊敬する先輩への問題発言に抗議する伊吹マヤ。
 
「え?ご、ごめん・・・・(そんなこと思ってなかったけど、のび太とか。さすがにこの天才に向かって)」とりあえず、かあちゃんに耳をひっぱられたジャイアンのように謝っておく葛城ミサト。
 
「・・・あと1分ちょっとだけど、間に合う・・よね?」この抗議のために伊吹マヤの手が止まって、間に合いませんでした、ではシャレにならない。
 
 
「現着まであと10秒。衝撃波その他の反転相殺中和無効化に5秒。4444BC型の制圧とパイロットの保護に十秒・・・・”このくらいはやってもらいませんと”」
 
冷静を通り越して伊吹マヤの声は霜がおりたかのよう。あと30秒以内に周辺のダメージもなく4444BC型も破壊せず、内部にいる赤木カガガを殺傷せず、どうにかせよと。
 
こんな芸当は碇シンジにも綾波レイにも惣流アスカにも、当然、鈴原洞木コンビにもムリ。
 
距離がありすぎる。しかも4444BC型は陽電子砲を連続に近い短時間で撃てる・・・
バカじゃねえの!?なにこの仕様!?平和のモニュメントのそれじゃないだろ!!絶対!
天の裁きなの?神の恩寵なの?とにかく責任者出てこい!!って法皇猊下かあー・・・
これも神の試練かあー・・・そういうことにしとくしかないかあー・・・ムカツク。
 
完璧を通り越して、理想の王子様が成すようなドリーム仕事ぶり。そんなムチャを現場が要求してはいけない。夢見る現場知らずの偉いヒトではいられない。もっとリアルを。
 
そんなのいるわけねえ。現世に存在するわけがないのだ。あくまで仕事の枠内で、ですな
常識的なハードル設定しないとみんな不幸になるでしょう。なりましょう?
 
 
 
だが・・・・
 
 
 
空をみよ。無力感と理不尽に打ちのめされる凡俗どもよ、今こそ、天を仰ぎみよ。
 
 
サギナとカナギはもう、呼びかけ続けている。
もういい。もう、そろそろいい。がまんしすぎはからだにどくだよ。わかいんだから。
いまこそ。いまでしょ。
こんなときには。こんなときこそ。いいからしごとは!しごとよりだいじだから!
あとふぉろーはわたしたちがするから!はやく!
 
 
そこには、頑なな星がある。地球にある家を秒もおかず見守り続けているくせに、日々強くなっていく己の熱い鼓動を宇宙の暗闇に向けることで、かろうじて正気を保っている、ふりをしている若すぎる白銀の星。その名は・・・
 
 
りつこさんがこまってるから
 
エヴァ八号機、火織ナギサ。
 
りつこさんが、わたしたちのだいすきな、りつこさんが、ないてるから!
 
 
宇宙ステーション「テラホーク」にドッキングして多種多様な宇宙開発ミッションをそれこそ分刻みでこなし続けていた・・・「彼が一日休むと人類がそこそこ気軽に宇宙旅行にいける時が年単位で遠ざかるだろうな。いや、ホントに。気の毒だと思うんだけど、いやいやホントに。スペシャルでオンリーワンだから。彼の名前がついた星とかもう17個あるから。若いのに欲がないから贈って喜ばれるとかそれ位しか。なんであんなに頑張れるんだか・・・青春を犠牲にさせて申し訳ない!これはもう銀河ナンバーワンに可愛いうちの娘と・・本人も希望してるし・・付き合う許可を出すしか!なに?余計なお世話?もう本命がいる?いやいや!いたらこんな勤務ガマンできんだろ?遠距離にもほどがあるだろ。私だったら発狂しちゃうよ?日本では忍ぶ恋こそ?いやいや、今度うちの娘の写真を見せるから!銀河ナンバーワンだって理解するから!」責任者からの評価もすこぶるよろしかった。同僚からも言うまでもなく。
 
 
いますぐ!!
 
 
そのため、
 
 
もどりなさい!!
 
突如、八号機・火織ナギサがミッションを全て停止・放棄して、母なる地球の一点に向けてATフィールドを全力展開して急速降下に入った時も。
 
りつこさんがよんでるから!!
りつこさんがもとめてるから!
 
 
「ほー、やはり天使の翼のようにはならないんだなー」
「そんなにのんびりしていられないということでしょうね・・・ふふ」
「ラテン十字、ギリシャ十字、ロレーヌ十字、教皇十字、聖ペテロ十字、あれは・・」「ケルト十字だな」
「エジプト十字もだ。最後はマルタ十字か」
 
 
ATフィールドそのものについては機密であるから分析は出来ないが、そのカタチをいくつもせわしく変化させる理由については察しがつく。そこまでして、彼は急いでいたのだ。
 
不可視のこの星にまつわるあらゆる力を最大限利用して、最速で、戻ろうとした。そこへ至る扉をひらくための輝ける十字群。誰かのために。無論、「テラホーク」で行われるミッションはどれも重要なものであるが、少年を引き止める言葉はひとつもなかった。
 
 
自らの意思で墜天する、なにもいらない、なにもかもかなぐりすてても、
 
 
必要とする、「愛する彼女のためならやむなしっ!むしろ精神衛生のために推奨するっ!
 
いたのならやむなしっ!秘密にしていたのは少し寂しかったが仕方なしっ!!
義息子、と呼びたかった義父さんと呼ばれたかったがいたしかたなしっ!!
ゆけっ!ナギサよ!!愛を掴むのだっ!!」
 
「女と限らないじゃないですか!彼かも美少年かも。むしろその方が・・・うふふ」
「秘密には・・しきれてなかったでしょ。ほとんど気づいてましたよ。逆輝夜」
「あのタイプは・・・家族を大事にする。兄弟姉妹でしょう89%」
 
 
誰かのために。ありえない速度と角度で。脇目も振らず、全力少年で。心の呼び声に従って。強く、強く、自分が求められて、乞われたことを、知ったなら。走るに決まっていた。
果ての地だろうと。どこだろうと。あのひとの元へ。年の差など知ったことじゃない。
 
 
正直、静観するつもりでいたし、それで正しい。「そこまで」自分が求められるわけではない。地上にいるメンツでどうにかするし、できるだろうと思ってた。するべきだ。
自分は外にいるのがお似合いだ。この身は欠片。全てを写しさえしていない不完全。
そこまですることはない。自分は”渚カヲルではない”のだから。代役さえ務まらない。
 
 
ただ。今回のケースは・・・・・・・・赤木リツコ博士が・・・まぎれもない天才の、
血脈案件。影と破片と欠片と写し身と偽物と・・・本物と真物だけでは対処しきれない。
触れるだけで、その背中にじぐじぎと入れ墨が掘られていくような・・・賢者でも2リットルも出血すれば死に至る。少しは健康的な生活をしてくれているんだろうけど・・ああ
 
それゆえに、解決し難い特異な・・・・・他の案件ならば放っておいても、ネルフの連中なら片付ける。これまでもそうしてきたし、そうするだろう。今回のケースも、解決はするだろう。透明な悲鳴を聞き分けることもなく。歪んだ鏡を覗くのは、苦痛だ。深く遠くを見通す目であるから余計に。「なんとかしたい」「助けたい」「自分が」「他の誰でも無く」「この心のままに」。可能な限り傷を少なく、あの人の苦しみを取り除いてほしい。
 
 
「自分がそれをしたい」・・・・けれど、その資格が・・・あるのか?と自問自答すれば
 
 
あるよ、と。声が心の奥から。光の風が吹くように。
 
 
リツコさんも、君を呼んでいるよ、と。他の誰に保証されるより、信じ、いや、このワードは響きがなんかちょっとアレだ・・・・そ、そう・・・「悟り」・・・悟ったのだ。
 
シンジ君もがんばってくれているよ?という声もしたが、無視した。集中が乱される。
 
あの顔を思い浮かべてしまうと、後フォローの段取りを計算してしまう自分がいて。
 
そんな役割まで引き継いでたまるものか!!自分のやるべきことは!やりたいことは!
「このせかいで」「このよで」「みらいもかこもなく」「にせいをちかうべく」
「なぎさのいちばんたいせつはだれ?」「なぎさがいちばんだいじだとおもうのは?」
 
 
 
「リツコさんっっっ!!」
 
聖者が街に、ではなく、王子が都市に、ピンチ・オブ・メンドーに駆けつけてきた。
白銀の神馬ならぬ、エヴァ八号機。展開するATフィールドも今回限りのAi siTemasu
仕様なのは言うまでもない。人類最速で大気圏突破を果たした。Aiの力は偉大ナルカナ。
 
 
ただの名前の呼びかけではあるが、単純故に効果絶大。ネルフ発令所のみならず、シェルターに避難していた市民、老若男女問わず、千人単位でキュン死にさせたとか。
専門家によると、およそスタンダート級のラブソング300曲ぶっ続け、永遠の定番クラスの恋愛映画70本連続視聴〜床から煙が出るくらい〜ほどの威力があったとか。
人間の能力を拡大するのが得意なエヴァであるが、八号機がそこまでやったのかは不明。
 
エヴァ4444BC型、「最も戦争の得意な」赤木カガガも、まさか天より、しかも愛パワー全力全開で来られるとは思ってもみなかったため、「・・・・え?美少年?・・・人違いではなく?・・・ないのね・・ここは・・・譲りますか・・」あっけなく沈黙した。
 
 
伊吹マヤのハードルを聞いていたわけではないが、全くその通りに処理した火織ナギサ。
むしろ、0,75秒ほど早かった。サギナとカナギの遠隔補佐があったにしても。
 
「・・・・さすがね・・・・これは・・・認めるしかないわ・・・・」
 
赤く染まる尊敬する先輩の横顔を見上げながら涙の理由は。
 
 
「ありがとう、ナギサ君。助かったわー・・・愛の力ってすごいわね〜」
 
さすがの葛城ミサトも、この局面で赤い顔した親友の天才科学者をいじり倒してやろう、というようなことを考えたわけではない。索敵の目も復活しつつあり、これ以上の物理攻撃手段は存在しないのも確認済み。八号機、火織ナギサの行動について小難しいことを言おうとすればなんぼでも言えるわけだが、陽電子砲ぶっ放されたあとで正解の札をあげてもしょうがない。フォローのつもりではあったのだ。一パイロットにここまでさせてしまった悔恨は己をはじめ皆にある。愛だからなんでもゆるされるわけではないが。
愛がなければ。もちろん、この場合の愛とは
 
 
「いえ。家庭の問題ですから」
 
「んっ?」
なんか今、ものすごく限定された言い回しを聞いてしまったような。組織愛とか家族愛とか人類愛とか。陽電子砲の砲撃を八号機で阻止してくれたのは、ほんとにほんとに有り難いけど、家庭の問題って言っちゃうと・・・ね?親友の顔はさらに赤くなっていた。
マジかよ・・・・
 
聞き間違い、というか、言い間違いだよね?さすがにここで言っちまったら取り返しがつかないよ?さきほどの君の行動がもう決定的すぎるし。私情を前面に出すとろくなことにならないし?碇司令とか冬月副司令とか、発令所のみんなとか、大勢聞いてるわけだから。
 
 
「リツコさんは、僕が守ります」
 
 
「え!?いや、そう・・・だね・・・広い意味ではそうなるか−・・・エヴァは人類の守護役で、リツコ博士はもちろん人類だから・・・エヴァのパイロットのナギサ君がそうするってのはまあ、ナチュラル、ですよね?」
 
 
「守らせて下さい。あなたを苦しませるものから」
 
ユーミンか!松任谷の!BGM!どちからといえば、あんたたちはみゆき族だろ!
その後ろに、一生、とかつけたらもうプロポーズじゃないか!そんなバナナ!!
なんで急にグイグイ来てんの?謎の宇宙線の影響?ひねくれ厭世キャラの面影は・・・
 
リツコ先生も、小娘みたいに、こくん、とか頷いてんじゃないわよ!!空気読みなさい!
まだ終わってないんだから!これ、拍手した方がいい?みたいなアイコンタクトを交わさない皆!日向君も青葉君も「先・・・越されちまったなあ」みたいな顔してんじゃないの!
やべえわこれ・・・この流れのまま籍がどうとかになればもう取り返しはつかないのよ!
 
「許可します」
なぜか伊吹マヤが。サングラスをかけて。お役所顔で。同時に「なんだこのオバショタ」とか言った奴は絶対に抹殺するビームが高圧待機中。
 
 
「「大海嘯皇帝(ネオ・ラディア・ネモ)式」と「天源破戒(てんげんはかい)式」の位置判明。深海と深地下ですので九号機と、獣飼い合同チームで潰・・・いえ調査(カチコミ)に向かわせています」
ご意見無用オーラをまとってはいるが、仕事が早いのはいいことだ。相手の位置を突き止めて物理戦力を送り込んで叩くのは非常に有効な戦術。それを操っている「頭脳」は回収しておきたいところだが。伊吹マヤの差配ならうまくやってくれるだろう。あくまで調査だから。反撃じゃないから。・・・今のところ、死人は出ていない。なんとかギリギリ。
 
都市中枢機能の緊急調整の名目で市民をシェルターに避難させていたとはいえ・・・
それ以外にマギの不調によるこの都市の免疫警備機能の低下によるブラック事案。
バカどもにはここがネオ・ジパングにでも見えているのか。残念だったわね。どちらかといえば、年がら年中火の車・ファイアーホイールシティーよ!実体は!!ざまーみろ!!
 
時間に追われて忙しい天国、とかあまりイメージしにくいのもあるだろうけど。少なくともヒマぶっこいてることだけはない。かかってきたけりゃかかってきなさいよ!
世はなべて事も無し、にするのがネルフの理念であるから、平らかにしてあげるから!
 
 
この赤木シリーズ問題も、なんとかできそうだ。この血脈、凄すぎない?人類のために保存しとかんといかんわ、しとこう、と何者かが思ったのも、ムリはないとは思う。
善し悪しはともかく、創り上げてしまう執念。これもひとつの母性の極致か。
知識はともかく、知性の継承問題は長らく人類を悩ませ惑わせ狂わせてきた。
その解決に光明を見いだしたとなれば。名君が3代も続けば歴史上の奇跡であり、賢者の子供が常に賢者であるならば。ただ事実と真実が正しく伝わるのであれば。
血と智の揮発粘性。ようやく航路をまともなルートに出来るのはないか。
少なくとも先祖と子孫に恥じないレベルで。
 
 
「タイタンなまずは?」
 
ただ、そこまでは業務範囲外だ。とりあえず、こちらを片付け、沈思黙考の時間を作ろう。
その時になったらビールとか飲んでしまってそんなこと考えもしないかもだが。
 
 
「捕捉できていません。南米の3地点に絞れましたが、どれもガンガンの紛争地帯でこれ以上は・・・」
「ま、時間かかるわね。抗争を隠すには紛争の中。それで他を抑えてなまず一強で元気になられても厄介、と。どうしようかな・・・」借りはつくりたくないが、エッカ・チャチャボールあたりに頼んでみるか・・・葛城ミサトが判断しようとしたところに零号機・綾波レイから通信が。
 
 
「なまずの乗り手、なまずライダーは、碇君たちが出くわすからどうにかしてくれます」
 
なんの暗号化と思ったけれど、そうではない。そのまんま、素直なハートで受け入れればいいのだ。情報ソースもたずねてみる。零号機の中にずっといた彼女がどうやってそんなネタをつかんだのか。まさか寝ぼけてて夢でも見てそれと現実が区別つかないなんてことは、レイに限ってはないと思うけれども。確認は必要。疑うわけじゃないけど。
 
「クラウゼ・ギミックというユダロンの執事が伝えてきた」ということで、信じるしかない。奥の奥の奥の院の絶壁結界にまします現代のふれずの巫女状態にあるレイに伝言してきた、という事実だけとっても。助言であるのか体のいい介入であるのか・・・凡人には見極めようもないが、レイがフィルターとなってくれているなら、信用するしかない。
 
 
まあ、レイに恥かかすような嘘をついてくれたなら後々どうなるか・・・思い知らせはするかもだが。現在、北欧にいるシンジ君達がどうやって南米のタイタンなまずの使い手とエンカウントするのか・・・いやまあ、ネットの世界は広大で神速であるけれど。ソウルをハックとかするのかもしれんけど。なまずの勢いで判断するしかない・・・声かけにくいけど、さすがにリツコ博士の意見も聞きたいのでおそれながら見つめ合う二人に割って入ろうとした矢先、
 
 
「タイタンなまず、停止!・・・沈黙・・?いえ!白旗あげてきました!降参するそうです!」
 
これをなんといえばよいのか・・・・嬉しいのは嬉しいのだが・・・不気味嬉しい?
 
略してブキウレ?超超距離からでも相手の電脳頭蓋を呪いの矢を放って貫通破裂するくらいのことはやりそうだが、降参させる、というのは。知性的だが、難易度は爆上がり。
 
ほんとにこれ、シンジ君がやってくれたの?タイミングよく謎の第三勢力がやったのをかっさらった流れだったりとかー・・・・だとしても、まあ、申告がないのであればこんな状況ですから、シン・ありがたくいただきウーマンというかー。居場所を突き止めるだけでも至難のはずなのに・・・どうやったの?