スーパーロボット七つ目大戦α
<斬魔大聖ルート2>
正式には<斬>の
字の下に<天>の字がつく、おそらく合体造語で<斬�臈桂眤臉札妊皀鵐戰ぅ鵝筺�
この作品の紹介などまたひとつ。まあ、おまけですから。だから、たとえ<はずれ>が出ても怒っちゃいけないのです。笑って次の機会を待ちましょう。
さて、<デモンベイン>は、アニメではなく、ゲームです。有限会社ニトロ+から発売されています。ちなみに石龍は初回盤を買いました。ですから、レンタルビデオ屋さんで探しても見つかりません。それから、ゲームはゲームでも、いわゆる「十八禁」というやつなので、といザらすとかには売ってないでしょう。たぶん。ジャンルとしては”荒唐無稽スーパーロボットADV”・・・・他にこういう作品がない場合、ジャンル分類は意味がないのですが。間違えて、「スーパーロボット大戦α外伝」を買ってしまったというあわてんぼさんな方はくれぐれもご注意を。八月あたりに発売される「スーパーロボット大戦D」にはビッグオーが出るようですが、デモンベインが参戦するこたあ、まずないでしょう。
が、スーパーロボットと銘打ってある以上、十八禁でも遠慮は無用です、十分に資格があると思います。あの熱血ぶりといい破壊力といい。ですが、現物をプレイしているのを前提に、いちいち注釈をつけたりせずに話が進んでいくので、未プレイの方にはワケが分からないでしょう。ニトロ+さんの公式ページにいってだいたいの情報を頭に入れから読むと多少は分かるかも。まあ、定価が8800円もしますので、簡単におすすめはしません。
とはいえ、たいして好きでもないロボットのことを、おまけとはいえ、わざわざ書いたりしないのは、皆様のご賢察のとおり・・・。
さて、舞台はアーカムシティ。ここで、ぴんとくる方はぴんときますが、下敷きとしてクトゥルー神話が使われてます。多くの人間が行き交い高層ビルも建ち車も走っているのだけれど、そこで魔術が使われても違和感がない、貪欲な活力の代わりに神の愛しい恩寵からこぼれ落ちてしまったようなどこか暗い気配に覆われた、黄金の狂気を胎蔵した街。
ブラックロッジと名乗る魔導組織が警察などモノともせずに暴れ回る無法の街。
そこの食い詰め探偵、大十字九郎は、法外な報酬と引き替えに「魔導書探索」というマンガのような仕事を引き受ける。依頼主はこの街の庇護者たる覇道財閥・・・・その当主である覇道瑠璃は、彼が元ミスカトニック大学の陰秘科の学生・・・・魔術師の卵の・・・ヒビが入ってしまってはいるが・・・・であることを知っていたのだ。
探索の途中に大十字九郎はブラックロッジに追われる「アル」という謎の少女に出会う。偶然か、必然か、白いフリルなんぞ着ているが彼女こそ最強の魔導書「アル・アジフ」またの名を「ネクノロミコン」の精霊。口調が古くさく、さらにイラク人のオヤジみたいな名前であるが、紫の髪にエメラルドの瞳をもった美少女であった。・・・・ネクロノミコンはクトゥルー系の冒険小説などでは悪の邪神官が呪文を唱えたりゾンビを製造したりする際に使用する、限りなく悪党敵対属性のネームであり、関わると不幸になるアイテムなのであるが、これを「美少女」にしてしまうあたり、さすがに十八禁ゲームの破壊力はすごい。怖いモノしらずである。そのアルに巡り会った怒濤の運命の余勢を駆って、大十字九郎はもういっちょう、最強の出会いを果たす。それが、地下深く、覇道財閥が開発して秘匿しておいた魔を断つ者、「デモンベイン」である。機体は出来上がっているものの、肝心の操縦者がいない、という黄金のパターンを階に、大十字九郎とアルはとっとと自分たちに降りかかるピンチ、襲い来るブラックロッジの破壊ロボに向かって殴り返すためにデモンベインに乗り込み、それを起動させてしまう。アルは、大十字九郎をモノホンの魔術師(マギウス)に変え、デモンベインを動かす智恵と経験さえもっていた。これで起動するな、というのが無理な話。さらにいうなら、アルはその可憐な容姿とは正反対の尊大で傲岸不遜な性格の持ち主なのであるかして。
所有者である覇道財閥の意向は緊急時なので無視。強引に虚数展開カタパルト(早い話がどこでもドアみたいなもんだが、それよりはローテクらしく出現時に衝撃波で周囲に多大な影響と迷惑をかけてしまう)で発進する。
三位一体、大十字九郎がパイロット、アルがナビゲーター、デモンベインがロボットの役(あたりまえだ)である。
決めゼリフは、「憎しみの空より来たりて 正しき怒り胸に 我らは魔を断つ剣を執る 汝 無垢なる剣 デモンベイン!」
これ以降、なんだもんだで、デモンベインで悪と戦い続ける大十字九郎とアル。
必殺技は「レムリア・インパクト」「アトランティス・ストライク」などなど。
二丁拳銃だって撃ってしまう憎いヤツである。
ゲームであるので、ヒロイン攻略の要素がむろん、あるわけだが、ヒロインは、アルと覇道瑠璃と、食い詰め探偵大十字九郎を養ってきた生命線であるところの大いなる神の愛と胸をもつシスター・ライカの三名。意外なことに、アル以外の魔導書は攻略できない。
さすがに邪神の祟りが怖かったのであろうか・・・・・。
ちなみに、この場合の悪とはつまり、クトゥルー神話の邪神のことであるのだが、この邪神はむちゃくちゃに強く、人間なんぞにやられたためしがない。栗本薫の「魔界水滸伝」の第一部などを読んでみるとその不気味な強さ具合がわかる。まあ、デモンベインを持っていなかったこともあろうが、たいてい人間は発狂するほどにビビらされて終わるのである。だいたいにおいて勝ったためしがない。倒されるのがお約束である妖怪や魔物などとはレベルが違うのである。と、いうわけで魔を断つ者・デモンベインと最強の魔導書アル・アジフを擁していても、大十字九郎の戦いは半端でなく苦しいものとなる。・・・!
いま全宇宙の命運を賭けて、壮大な闘争が幕を開ける!、とパッケージにも書いてあるので、それくらい激しく辛く苦しい、戦いなのである。これがウソかどうかはプレイしてみれば分かる。
で、その苦しい戦いの最中、日本に呼ばれてきていいのかよ?ということに当然なるのだが、・・・・・・ここらへん、石龍も苦しいのであるが、呼ばれてこれるのだから、アーカムシティーも平和になった・・・少なくともブラックロッジは壊滅して、あとは警察にまかしておけばいいレベルの警戒度になっているのであろう。
21世紀警備保障 使用しない会議室を改装した、<連絡所>
「まー、なんちゅーか・・・」
バカ?と続けたかったのだが、さすがに葛城ミサトは大人である。そこで堪えた。
同席するロジャー・スミスも苦い顔をしている。隣にいつもと変わりはないR・ドロシー。
早く来てくれたのは確かに有り難いし、何より、「すいません、すいません」と一人だけペコペココメツキバッタのように謝る大十字九郎君が哀れになったせいだ。その他の三人、白フリルの少女、と白衣に緑の鳥頭、顔にマッドと書いてある、のと、黒服にエルフ耳の少女は大十字九郎が何をしているのかさえ理解しているようではないのでなおさら。
確かに、故意ではないにしろ・・・・・
巨大ロボットでいきなり現れてボーリング場を半壊させといて、「人死にがでなかったんだからいいじゃん」という、まるで反省ないフェイスというのはいかがなもんか。
アメリケ人は交通事故をおこしても、絶対に自分から謝らないというが・・・・
いかなる運命のいたずらか、事故現場が、チルドレンと広報二課が気晴らし・・・親睦を深めていたボーリング場だったとは・・・おまけにレイはパーフェクト目前だったとか。
最悪
口にはせぬかわりに、胸の中で吼えておいた。これで、交通費いらない、仕事料もいらない、どころではなくなった。大借金である。被害の出ない海上かどこかで実体化すればいいものを、それを街中でやったものだから・・・・確かに死人こそでなかったものの、怪我人の見舞金や破壊された物品の補償など、21世紀警備保障とネルフとで折半したのだ。
21世紀警備保障は私どもで全額払いますがな、と申し出てくれたが、そうはいかない。
そんなことをされたら、デモンベインと大十字九郎君たちはこっちの用で使えなくなる。
おまけに、金さえ出しておけばよいという問題ではないし。札びらが人を助けるわけではない。一転して修羅場と化した現場で広報二課の人間は救急車やらなんやらが来るまで怪我人のフォローだの、避難誘導だの交通整理だので大働きするはめになったし、三人合唱で呼び出されたビッグ・オーも呼ばれて飛び出てみれば、ありゃあ敵ではないというし、巨大ロボがなんの前触れもなくしかも、2体も街のど真ん中に出てきた混乱と言ったら・・・・・・危うくパニック騒動になるところだった。冷静な城田氏の介入がなかったらマヂにそうなっていただろう。
とにかく、チルドレンも広報二課もまあ、気晴らしどころではない。大車輪の大回転で、へとへとのくたくた。それが自分たちが呼んだ「ロボット探し」というなれば、もう文句を言う元気もなくなる。それでもなんとか収拾がつき、全員が食事の前に従業員休憩室の大きな畳み部屋で寝ころんで一息ついている・・・・元気な赤木も体の弱い綾波レイも。
おかげさんで楽しいはずの一日がブッ潰れた・・・・・・・
ここまでの騒ぎとなれば、笑っても好意でも済むはずもなく、通常ならば、覇道財閥に請求がいくところであるが、そうはいかなかった。なぜなら、デモンベインの所有者たる覇道財閥は今回の出動を認めていない・・・・・ロジャー・スミスがなんとか苦労して説得交渉にあたっている途中であった・・・・限りなく独断で、デモンベインの操縦者たち・・・・大十字九郎とアルは、無断で虚数展開カタパルトを使用して、こちらにやってきていたのだ。財閥当主たる覇道瑠璃の意向を完全に無視して。これで、「所有者だから金払え」と面と向かっていえるわけもなかった。アルと勝手についてきた二人はともかく、大十字九郎が「とにかく覇道の姫さまには内緒にしてくれええええええ!!」と泣きつくのであるからなおさらだった。まあ、この派手ニュースを覇道財閥相手に守秘しきることは不可能であるから意味はない。 デモンベインの位置はばれており、すぐさま返還要求がくることだろう。私有軍隊も持つ覇道財閥のこと、大十字九郎など、アーカムに戻れば銃殺か半永久禁固刑は確定であろう。覇道瑠璃・・・・年は若いが、そりゃもう鉄血の女だという。ロジャー・スミスが手こずっていたのだから。財閥総帥たる責務と絶大な権力により化粧された鋼鉄の乙女。誰しも好んで敵にまわしたくはない。
「お代もいらない、必用経費の交通費もいらない」・・・・やはり、話がうますぎた。
「お呼びしたのは、こちらですから・・・・残念な事故が起きてしまいましたが・・・」
に、したって、てめえらなあ・・・・・と、再び口には出せぬセリフを胸の中に吐く。
関係各位周辺に説明の必要があるので、目の前で事情を聞いてみると、ざっとこのようなことだった。
「あの小娘が近頃、色目を使こうてくるのよ。ふん、一仕事片づいたからといって色気づきおって」
平和・・・デモンベインが緊急に絶対に必要になることはない程度に・・・になったアーカム・シティで再び正義の英雄から、食い詰め探偵の境地に戻ってしまった大十字九郎。探偵という職業が繁盛する状況というのも、また平和ではないのかもしれない・・・
だが、大十字九郎の永遠のパートナーたるアル・アジフはそれなりに満足していた。
なんせ、大十字九郎と平和の中に、ともにいられるのだから。我が身が焚かれるよりも、こやつが戦の火に焼かれるのが耐えられぬ。少々の貧乏など苦にもせぬ、教会にいけば食事は食わしてもらえるし、いよいよ金がないのに飽きたとこやつがわめけば、ともに黄金郷を探しても良いのだから・・・・手近なところで、製薬会社あたりに何種類か秘薬のレシピを渡せば十年やそこらは遊んで暮らせるだろう・・・・それとも、里帰りなどしてみるか・・・九郎に我が故郷を見せてみたいしのう・・・・・そこそこ少女のような計画を小さな胸に秘めつつも、今しばしの平凡と安楽にひたっていた・・・・もう暗黒の手に主を奪われることはないのだから。その平穏はなんの邪魔もなく、続くはず、であった。
”邪魔”とは何か?・・・・・たわけたことを聞くな、うつけめ。邪魔とは邪魔者だ。
シスター・ライカは財閥の拳闘執事のウィンフールドにほぼ決まりであるし、魔導書はネコロノミコンただ一冊であるし、ロボロボうるさいあの長耳エルザは、ふふふ・・・あやつにはシステム上のみならず、重大な欠点がある!もし九郎がロリコンならぬ重度のロボコンだとしても、・・・・くくく・・・・すまぬな、笑いがとまらぬのだ・・・・も、もしエルザを選ぶ、選ぼうとしてもだな、・・・・うくくく・・・・いや、まことにあいすまん・・・もったいをつける気はない・・・・ドクター・ウェスト、あの緑色のオウムみたいな頭をした前世は怪しい実験を施されたオウム間違いなしのあの変人がおるだろう?あやつがエルザを造ったのだ、いわば・・・・親だ。うぷ・・・くくくくくく!つまり。
あやつを・・・・・「お義父さん!」と呼ばねばならんわけだ!!わははははははは!
いや、子は親を選べぬのだから、それを笑うことは・・・・・・わははははははは!
・・・・いや、すまん。とにかく、そういうわけで、邪魔者はおらんのだ!。
覇道瑠璃?・・・デモンベインを起動せぬ、必要のない今、財閥総帥と貧乏探偵のどこに接点があるというのだ?映画ではないのだぞ。どこぞの王女と新聞記者より距離があろう。
・・・・もちろん、魔導書と人間の間も、そうであるがな・・・・・・
だから、続編で、「大十字十郎」が颯爽と現れることもないのだ・・・・
だが・・・・ここ最近、九郎のやつが覇道のもとへ呼び出しをくらっておる。
仕事の依頼・・・・ではない。だが、ただの茶飲み話などで、財閥の総帥が時間をとるとも思えぬ。そして、九郎はその内容を一切話さぬ。いい加減頭にきているところに、探偵への依頼人が来た。九郎はその時、留守であったから妾が出て話を聞いてやった。
どこをどう手繰ってきたのか、妾がダウジングの名人であることを、知っていた。
それで、ロボットを捜してくれないか、と。そんな奇妙な依頼であった。
場所は・・・・・「日本」・・・・東の島国。大十字・・・九郎の故郷でもある場所。
一にも二もなく、引き受けた。とりあえず、アーカムを離れるのであればなんでもよい。
代金なんぞも必要なかった。久方ぶりのデモンベインで飛べば一瞬だ。
実際のところ、なんでロボットを捜すのかもよくわからん依頼ではあったが、関係なかった。デモンベインにダウジングロッドを持たせれば一発で分かるであろう・・・・。
「アルっっ!なんで俺にだまって引き受けるんだ!ひらに謝って、かんべんしてもらって断ってこい!!デモンベインは使えないんだぞ!」
「な、ならば、妾と汝だけでも、極東の島国から、わざわざ頼ってきたのだ。よほど、困りはてているのだろう・・・!」
当然の如くに、帰宅した九郎とは大喧嘩となる。だが、確かに妾が分がわるい。
「バカかお前は!!そんな怪しげな依頼にのってホイホイ日本までいけるか!っていうか、飛行機代もない。おまけになんじゃこりゃ、無料って!ボランティアやれるほど俺たちは人生に余裕があって裕福か?愛に溢れかえったドーパミンな勝者ですか?」
「教会のただ飯を食っておるのだから、それくらいしてもバチはあたるまい!」
「とにかくダメだ。断・・・・・・おい、アル・・・・」
九郎の言葉を堰き止めたものが、自分の頬にながれるものであるのに気づくのに、しばらくかかった。ケンカはいつものことであるから、この時は自分の愚かさが悲しかったのであろう。・・・・・・言葉は不要であった・・・・・で、思わず、実力行使してしまった。
魔力波でこっちが泣いていると油断している九郎を壁に叩きつけて気絶させると、愛玩魔法生物のダンセイニに運搬させて、街中のデモンベイン発射口の一つへ。そこから地下格納庫のデモンベインのところまで一直線に行けるはずが・・・・・・・・道に迷ってしまった。
「なにしてるロボ?」夜遊び帰りのエルザに出くわした。
「汝は・・・」
「あ、ダーリンは気絶中ロボ」
そして、なぜか、ドクター・ウェストの「素敵・西博士地下研究所」に辿り着いてしまう。
「オウ!エルザあああ!弱冠二歳にもなっていない身ではや夜遊びとは我が輩、驚愕するとともに悲しいである・・・・おや?アル・アジフに、大十字九郎?・・・・うぬぬぬ・・しかし、・・エルザが連れて帰ってきたということは我が輩、プッチンプリンなどを用意してもてなさねばならないのであるか?エプロンをしてそれで手をフキフキして登場せねばならないのであるかあああああああああああ!」
「プッチンしてるのはプリンじゃなくて博士の神経ロボ」
「ふむ。(アル・アジフに涙の跡・・・・紙魚になるのである)。寝たままの大十字九郎を市中引き回し逃走する吸血殲鬼プレイをしているのでないなら、少し我が研究所に寄っていくのである」
「最近、抗体ができてきたみたいで、つまらないロボ。あ、そこの入り口、足下が高くなっているから危ないロボ」
この時、断らなかったのはなぜか、よく分からない。いくら戦う必要がなくなったとはいえ。ドクター・ウエストの研究所に立ち寄ってしまうとは・・・・
そこで、自白剤も入っていない茶など飲み、なぜか自分たちの現況などを報告してしまう。九郎が起きていれば死ぬほど嫌がったであろうが・・・・仕返しなのかもしれぬ。
そして、いつの間にか、話が弾んでしまい・・・・夜っぴて話し込んでしまった。
もちろん、話の九割は大十字九郎の悪口だ。盛り上がる、盛り上がる。
途中で当人が起きそうになったので、もう一回眠らせた。
おまけに「我が輩も、一度日本には行ってみたいと思っていたのである。今後の破壊ロボの製作に大いなるヒントが得られそうな予感がするのである。ドクター・ウエスト、ゴートウーイースト!うーむ、なんだか伝説を感じさせる一ページになりそうなのである。決めた。我が輩たちも行ってみるのである!」ギターを大音響でかき鳴らしつつ宣言する・・・そういうことになった。
そこからは、トントン拍子、マッドサイエンティストに、最強魔導書、あらゆる兵器を使いこなすコマンドーロボット娘、この三人がそろえば、覇道財閥の厳重な警備をくぐり抜けることもたやすい。九郎をかついだまま、最初の出撃のようにデモンベインに無許可で乗り込むと、「久しぶりだな、頼むぞっ!」と斬魔大聖の異名を持つ愛機に挨拶、激戦を制してしばしの休眠にはいっていた機体はすぐに返事をよこしてきた。
「応」と。
九郎を起こしたのは、機体の最終チェックを終了させたギリギリになってから。
そろそろ気づいた覇道財閥の面々が指揮所に入ってこちらの様子に感づいて強制アクセスしようとしているが、まとめて排除。小娘のナアカル・コードは組み込まれているのだからあっちでもレムリア・インパクトは使える。なにも恐れることはない。
「なあっ?なんじゃこりゃー、アルっ!!おまえ」
久方ぶりのマギウス・スタイル、デモンベインの操縦席に驚いている九郎だが、時既に遅し。イヤだといっても連れていってやる。
「九郎!!」
「な、なんだよ。逆ギレなんぞにだまされると思うなよ」
「妾と小娘、今ここで選べ!!小娘が良ければ、ここで降ろしてやる。日本には妾たちだけで行く!」
「なっ?!なに言ってんだ・・・妾”たち”?・・・他に誰かいんのか・・・・っておいっ!!?」
「けっこうこの操縦席は余裕があって広いであるな。なかなかの携帯空間である」
「”我 埋葬にあたわず(ディグ ミー ノー グレイヴ)”も持ち込めてよかったロボ」
魔導バイク”ハンティングホラー”に跨ったドクターウエストと、棺桶とバズーカ砲のあいのこのような”我 埋葬にあたわず”を持ち込んでいるエルザの姿に、目の玉が飛び出そうになる大十字九郎。総重量は確実にそこらのエレベーターなら停止するほどのものになっているだろう。
「ちょ、ちょっと待てアル、なんでこいつらが一緒に乗ってんだ?それに思いっきり重武装を持ち込ませてんじゃねー!!重量オーバーで底が抜けちまう!」
「まずは妾の問いに答えよ!・・・・汝の問いにはその後で答えよう」
「ああっ!今、後半部分でちらっと視線が外れたぞうっ!勢いでここまでやっちまったけど、そろそろ頭が覚めてきて、後悔しているな!そうだろうっ!このランチキ魔導書娘!」
「こ、ここで言い逃げるとは卑怯だぞ、九郎!妾とともに行くか、覇道の小娘のもとに留まるのか、答えよ!」
「あ、あのなあ・・・・」
返答に窮したところに、当の覇道の小娘の声が。
「大十字さん、アル・アジフっ!なにをしているのですかっっ!!」
覇道財閥の当主である、覇道瑠璃。つまりはデモンベインの社会的、偏狭な価値観の中でいうところの持ち主様の怒声。「ちっ。まだ回線が残っていたか・・・・・新しく改造を加えているようだな・・・また手が空いた折りに再チェックをせねばな・・・・、というわけだ、九郎!あまり時間がない!答えよ、・・・・ん、何、そうか!!妾たちと共にいくか!そう答えると信じておったぞ、我が主」
と、いうところで回線を切ってやる。これで存外、単純なところがある小娘などイチコロであろうよ。指揮所で足の届かないじたんだ踏んでいるはず。ふふふ。
「まだなんも答えてねえし、考えさせてももらってねえぞ!解答時間の延長を要求する!」
「うるさい!!そんな青ビョウタンなことで人生渡っていけるか!強くなれ、九郎!・・・・妾は汝を強くする!!・・・・虚数展開カタパルト、始動!!」
「うわ、すげえ理屈ロボ」
「ふーむ・・・・この原理はどうなっているのであるか・・・・・じっくり研究してみたいであるな」
「目標地点、日本国、東京!!」
「ええい、くそ、ままよっっ!!」
・・・・・と、いうわけで無理矢理ごり押しに発進したデモンベインだが、それを駆る肝心要の術者、大十字九郎の精神状態は、万全とは言い難い、どころか限りなく、逆噴射に近かったわけだった。この話を聞けば、そして目の前の現状を見れば、葛城ミサトも怒鳴るわけにもいかず、大十字九郎君に同情するしかなかった。住む世界が違う、として納得するしかなかった。なんせ、呼んだのは自分たちであるから。
交渉を台無しのぶち壊しにされてロジャー・スミスは機嫌が悪い。ネゴシエイターの信用にも関わる。<連絡所>の空気は限りなく、淀んでいた。
「まあ、人間には失敗がつきものだからな。謝るだけならピテカントロプスにもできる。
問題は、これからどうするか、ということだ。ロボット探し、するのであろう?」
覇道財閥がお膝元、アーカムシティーから遠く離れて、アルの表情は明るい。とてもとても反省しとるようにはみえない。事実、悪いなどとまったく思っていなかった。
確かにこれはムカつく・・・・・美少女の外見で傲岸不遜で常識がないってのがこれほどムカつくとは・・・・・この調子で、今ヘトヘトに疲れて畳み部屋でマグロになっている皆の前で語られた日には・・・・・血を見ることになるだろう。トラブルメーカーだ・・・・・やばい・・・・それも、純度が高い。高すぎの。頭痛がしてきた葛城ミサト。
シンジ君、初号機の居場所だけ占ってもらって、さっさと帰ってもらった方がいい・・・・・とにかく、絶対に隔離だ。完全にトサカにきているアスカとだけは会わせてはいけない・・・・少し、冷却時間をおこう。それが双方のためだ・・・・
あとはロジャーさんに任せて、適当なホテルにでも放り込んでおくか。ここだとなんのはずみで顔を合わすか分からないし・・・。
「ともあれ、遠くからこられてお疲れでしょう。今日のところは、日本料理でも味わってゆっくり休まれてください。とりあえず、作業は明日にしましょう、明日」
ウインクでロジャー・スミスにあとは頼むと盗塁を指示する監督のようなサインして、葛城ミサトはデモべご一行様をよそへ移動・・・”隔離”にかかった。
「日本料理というと、インスマスの旅館で食べたような蟹とかエビとかアレか!ほらみろ、九郎、妾が代金はいらぬ、といったのにこのもてなしぶり!やはり心が通じたのだ!」
「・・・・・・ちょっとトラウマが発動したので沈黙するからな」
パートナーのはしゃぎぶりとは180度正反対に、針の筵状態の大十字九郎。メンバーの中で唯一人常識をもつとかくも哀しい。心のありかをさがしに。
「はいはい、それじゃあ、すぐに参りましょうか」
百戦錬磨のツアコンのごとき笑顔を浮かべて、葛城ミサトが四人を促す。
だが、その努力を嘲笑うかのように、この場に最も来てはいけない人間が来てしまった。
「あのウドの大木ロボットに乗ってたバカ四人組いる!?」
惣流アスカである。その声を聞いた途端に、「なんじゃとう!!」アルの瞳が魔力をもって煌めいた。このあとの騒乱は、機械獣の襲撃にも匹敵した、とあとで21世紀警備保障の人間は語った。これを収めるに葛城ミサトとロジャー・スミスの白髪が十本以上増えた。
「ロジャー、今日も眠れなかったのね」
アンドロイドであるR・ドロシーだけが全く変わらずに。
その代わりに、砂時計をひっくりかえした・・・・・